ニコ生の再生の怪

前々から気になっていた事なのですが。 ニコニコ生放送を視聴していて、一時停止をします。たとえば、5:00で停止したとしましょうか。その後、10分くらい経ってから、Bluetooth機器で再生します。普通は一時停止した所の5:00から再開されます。当たり前です…

どうすれば余剰発見(過剰診断)の割合が解るか、何がそれを妨げるのか

余剰発見とは まずおさらい。余剰発見(過剰診断)は、 症状や死をもたらさない疾病を生前に発見する事 を指します。症状をもたらさないものを見つけるのだから、無症状の時に見つけるのが必要条件です。無症状時に疾病を見つけて対処する事を検診と言います…

《リスク》《根拠》の解釈と《メッセージ》

mainichi.jp ↑興味深い記事です。 ここで重要なのは以下の事項。 最新の論文等を参照し、科学の観点から、健康な若年成人においてマスクの着用が熱中症のリスクを上げる根拠が見いだせなかった それ以外の層についてはデータ自体に乏しい マスクを外すのを促…

IEモード

IEはIEモードごと滅ぼせ的な意見もありますが。 言いたい気持ちは解らんでも無いですけど、IE依存(ActiveX必須)の業務システムとかだと作り直しに億かかったりする訳で、その計画は何年も前に立てないといけない、でも何年も前から訴えていても、意思決定…

病悩期間と病識

がん検診の議論において、便宜的に病悩期間の語を用いているけれど、その語は結構色々の意味で使われていて、他に良いのが無いかな、と思っている。 論文等を見ると、病悩期間を、主訴から手術までのあいだ、のように定義したりしている。それだと、がん検診…

《過剰診断を確かめるなら他の地域で甲状腺がん検診をおこなって比較すべきだ》との意見について

裁判と報道 私は、過剰診断で定期的に検索しているのですが、TBS『報道特集』で裁判(「原発事故で甲状腺がんに」6人が訴えた裁判始まる 東電は争う姿勢:朝日新聞デジタル)が採り上げられて以降、 福島で見つかった甲状腺がんが過剰診断だと言うのなら、他…

福島の甲状腺がん検診に関する中川恵一氏の誤り――《超低リスク甲状腺乳頭がん》

hc.nikkan-gendai.com ↑先日にTBSの番組が話題になった事を受け、東大医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一氏が福島の甲状腺がん検診について解説した記事です。 中川氏は、福島の検診で発見数が激増した事について、 それではなぜ診断数が増えたのか。そ…

検診の議論で重要な論点リスト

箇条書きします。なぜそう言えるのか、等の疑問があれば、コメント欄にお書きください。誤りが判明すれば訂正します。 思いつくままリストアップしたので、カテゴリーごとにまとまっているとは限りません。 検診は、病気を無症状の時に見つける事である 検診…

鈴木眞一氏は誤診の意味で《過剰診断》を使っていない

過剰診断の語について、2021年の『日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌』において、その用法を問う特別寄稿が病理方面の専門家から出された事が以前話題になりました。 www.jstage.jst.go.jp その寄稿で提言されたのは、次のような内容です(私が以前書いた後述…

室月淳氏による過剰診断を測る説明の誤り

産科医の室月淳氏が、過剰診断についてtwitterで発言していました。 甲状腺がんの過剰診断とは誤診ではありません。病理学的にはがんにまちがいないのですが、進行がきわめておそく生涯でまったく症状を示さないなどです。残念ながら個々のがんにおいて過剰…

検診などの医療介入における《便益と害の両立》

衆議院議員の米山隆一氏が、次のような発言をしていました。 胸単での肺癌検診は兎も角(適切な方法でないと効果が明確でない)、一定の年齢層に対する前立腺癌、乳癌の検診はその有効性がほぼ確立しており、これらの検診で救われた人は少なくありません。漠…

《過剰診断で無い》症例

昨日の記事で言及した報道について。 もし、当該報道で紹介された、裁判における原告の1人の症例が、 甲状腺がんによる症状が発現して、それをきっかけに受診し甲状腺がんが発見された 事例なのであれば、それは原理上、 過剰診断(余剰発見)であり得ない …

TBS『報道特集 原発事故と甲状腺がん』における、福島県の立場の報道を検討する――《過剰診断》の扱いを巡って

TBSの番組『報道特集』(報道特集|TBSテレビ)において2022年5月21日土曜日に、『原発事故と甲状腺がん』と題する特集が報道された。 tver.jp ↑TVerで2022年5月29日土曜日まで配信されているので参照されたい。 当該特集は、福島県の原発事故を契機とする放…

害と便益の比較の難しさ

検診のはなし。 検診を推奨すべきか否かは、正味の便益(net benefit)が認められるかで左右される、という事をこれまで何度も書いてきました。もちろんそこでは、 害と便益との比較 が必要です。でも、これが難しい。何故ならば、そういう比較では、 死亡減…

応用問題──診断と余剰発見

余剰発見の議論等について知っている事が前提です。 福島の検診では、細胞診は確定診断ではありません。手術しないと診断に至りません。 じゃあ、 余剰発見例は必ず過剰処置される と言ったほうが良いでしょうか。だって、余剰発見の必要条件は、確定診断さ…

《過剰診断》を《誤診の意味でのみ》用いるのだとしたら

もし、題のごとく考えるのだとすれば、私は次の質問を投げかけます。 高血圧や精神疾患方面におけるoverdiagnosisはどう捉えるのか overdiagnosisの議論は、何もがん検診に限定された話ではありません。がん検診以外の方面でも、overdiagnosisを誤診の意味で…

高野徹氏による余剰発見(過剰診断)割合の《推計》について──推計になどなっていない

先日、当ブログにおいて、こどもを甲状腺がんの過剰診断から守る医師の会に質問を投げかけました。 ↓質問先の会のtwitter twitter.com ↓質問した記事 interdisciplinary.hateblo.jp そこでおこなった質問を再掲します。 福島での集団甲状腺がん検診において…

『過剰診断(overdiagnosis)の定義と過剰手術(oversurgery)/過剰治療(overtreatment)の用法:病理医と疫学者の見解の差異』についての考察

※先に書いておきますが、1万5千字近くあります 福島における甲状腺がん検診まわりの議論の流れで、2021年に日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌に、過剰診断概念に関する特別寄稿が掲載された。 当該寄稿における主張の概要は次のようなものである。 病理医は過…

《こどもを甲状腺がんの過剰診断から守る医師の会》からの反応

interdisciplinary.hateblo.jp 上記の記事にて言及したこどもを甲状腺がんの過剰診断から守る医師の会から、twitter上でリアクションがありました。内容は次のようです。 1)当会に過剰診断に関する見解を求めている方がおられますが、わたしたちは過剰診断…

再び、《甲状腺がん検診をおこなうべきで無い理由》

もう何度も、題に書いたような事は論じていますが、少しずつ表現を変えたりしながら説明していくのも重要なのだろうと思います。 さて、甲状腺がん検診の話です。これまで言ってきたように、 甲状腺がん検診をおこなうべきで無い理由 は、 甲状腺がん検診の…

《こどもを甲状腺がんの過剰診断から守る医師の会》へ質問

twitter.com こどもたちを甲状腺がんの過剰診断の害から守ることを目的に結成された甲状腺専門医を中心とした医療者の会です。 もし関係者が見たら、次の質問に応えて頂きたいです。 福島での集団甲状腺がん検診において、overdiagnosisはどのくらいの割合で…

同い年

これが若い世代にある傾向なのかは判りませんけれど、20代以下くらいの人たちが同い年と言う場合、それは、いわゆる同学年や同年度生まれを指す事があるようです。もちろん、同学年なら同年度生まれとなる訳ではありませんので、単に同年度を指す、と捉えて…

過剰診断概念の共有が進めば

名取さんが、過剰診断なる語の多義性とそれによる議論の混乱に関する記事を、アップなさいました。 「過剰診断」の定義の違いを認識しよう - NATROMのブログ 議論の大前提である用語の意味の共有が進む事を望みます。その方向性としては、同じ語でも文脈によ…

【メモ】事象とスイッチ

確率のはなし。 起こり得る複数の結果があって、結果を確定できないような実験、すなわち試行を考えます。その結果(アウトカム)を漏れなく集めた集合を全事象と言います。 全事象の要素はその定義から、着目している試行の起こり得るアウトカムです。硬貨…

ブームと交流

昨今、格闘家・武術家系のYouTuberが色々と交流して、ある種のブームになっていますね。改めてブームとは何だ、と問われると難しいですが、武術関連の動画が数十万回も再生され、武術家がテレビに出てワンインチパンチ等のパフォーマンスを披露する、という…

偽発見率?

診断学方面では、陽性者の内で正陽性である割合を、陽性適中割合と言う(他にいくつか表現がある)。これは要するに、陽性と予測して当たった割合なので、当然、その逆である陽性と予測して外した割合もある。 陽性適中割合を略すとPPVだから、予測を外した…

《死亡の保有割合》は成り立つか

小話と言うかネタ的だけど、それなりに真面目な話。 疫学等で、いわゆる有病割合という用語があります。ある時点での人口における、病気を持っている人の割合ですね。何らかの人口(地域に住む成人でも病院の患者でも学校の生徒でも)を対象に計算する割合は…

がん検診や過剰診断議論の見通しを良くするための本を紹介

元首相の5人が欧州委員会に送った書簡をきっかけに、福島における甲状腺がん検診まわりの議論が起こりました。 www.sankei.com この議論、被ばくによって甲状腺がんが多く発生しているのかとか、検診は良い効果をもたらすのかとか、検診によって起こる害はど…

似た語だけど

問題なのは、 抜き打ち では無く、 抜き取り ですね。抜き取り調査は母集団の様子を知るために一部(標本)を採っておこなうものだから、それで競技上の失格を判定するなら、不公正になるに決まっています。

がん検診に関する細野豪志氏の不正確な発言について

衆議院議員の細野豪志氏が、福島における甲状腺がん検診の問題に絡めて、次のような発言をおこないました。 現在、福島以外では(国際的にも)甲状腺検査は推奨させていません。過剰診断、過剰治療によって本来は必要のない手術をする人が出てくる可能性があ…