もしかしたら

一般論しか「言わない」のは、一般論しか「言えない」からかも知れないのですよね。
具体論に入ると、当該分野の専門知識を習得したり、関連の文献を読み込み把握する、という地道で疲れる作業が待っているし、下手に突っ込んだ話をすると、「無知がバレる」訳なので(よく私がやるように)。そうすると、なんとか一般的な、メタ的な論をひたすら言い続けて、具体的な話は避けよう、となる。

一見シンプルに思えそうな命題、たとえば、「○○によって多くの人が死んだ」とか、「△△によって癌になる人が増えた」とかは、確かめるのは非常に難しい問題なのであって。
一つの条件以外を揃えて確認する、というのは倫理的に不可能だから、観察的にデータを集め、撚り合わされた因果の糸を丁寧に解きほぐしていかねばならないので。
しかも、今我々が対峙しているのは、自然現象や社会現象、心理現象が渾然一体となったカオス。それを的を外さずに検討していくには、広く学際的な視座をもってあたらねばなりませんし、基本的な知識と方法として、実証科学的研究法や統計学的論理を身に着ける必要があります。