有病者数を解く

問題

前回ラブラ続きです。
NATROMさんのエントリー⇒そんで、結局のところ、甲状腺癌の患者数は? - NATROMの日記
ここでのNATROMさんの出題は、

問題:甲状腺癌の2次検査の細胞診検査において10名が悪性、66名が良性と診断された。この検査の感度は90%(偽陰性率10%)、特異度は90%(偽陽性率10%)である。細胞診検査を受けた計76名のうち真に甲状腺癌であるのは何人か?

これです(文字修飾は外した)。つまり、

  • 10名悪性
  • 66名良性
  • 感度90%
  • 特異度90%

という情報が与えられた時、「病気を持っている人のは何人か」という問題。これは、表や式とにらめっこしていても、なかなか解りにくいですよね。て事で、ここ最近のエントリーと同様に、図で考えてみましょう。

病気を持つ人達

※用語は、前回までに用いたものを使います。
さて、まず、今関心を持っている対象全体を

  • 病気を持っている人
  • 病気を持っていない人

の2つに分割します。そして、その内の「病気を持つ」部分にクローズアップします。

赤い所は陽性で、青い所は陰性です。
私達が知りたいのは、この部分全体(を合わせた)の人数です。ここで、この数を x と置きます。

x です。
さて、今解っている情報で、「病気を持つ人」に関するものを考えてみます。するとそれは、
感度は90%
である事が解ります。感度とは、病気を持つ人の内、陽性になる割合です。という事は、病気を持つ人の部分だけで表現出来ます。図で表すと次のようになります。

90というのは割合です。そして、病気を持つ人の人数は x 人なので、
病気を持つ人で陽性になる人のは、
0.9x
となります。つまり、病気を持つ人の赤い部分の人数は、0.9x人です。

病気を持たない人達

今度は、病気を持たない人達の部分にクローズアップします。

病気を持つ人と同じように、赤が陽性で青が陰性です。次に、病気を持たない人の人数を考えます。全員は76人で、病気を持つ人を x 人としたので、病気を持たない人は、

76-x
と表せます。
そして、先ほどと同じように、今度は、今解っている情報で、「病気を持たない人」についてのものを考えます。それは、
特異度は90%
です。で、特異度というのは、病気を持たない人の内、陰性になる人の割合です。

という事は、特異度で表されるのは、上図の部分の割合です。
では次には、病気を持たない人の内、陰性になる人の人数を求め……ません。
どういう事かと言うと……
先ほどは、病気を持つ人の内、「赤い部分の人数」を考えました。で、NATROMさん出題の問題において解っている情報で、
検査を受けた人の内で陽性になった人数
があります。それは10名でした。という事は、です。
赤の部分の人数全体
は判明している訳です。だから、

  • 病気を持つ、かつ
  • 病気を持たない、かつ

を足したものが赤い部分全体の人数、つまり10人になります。だから最初に、かつ有病 を求めたのです。
ですので、次に考えるのは、病気を持たない部分の内、人数です。病気を持たない人は 76-x ですから、病気を持たない人で陽性(つまり)の人数は、
0.1(76-x)
となります。病気を持たない人の内10%が陽性()になるので、それに人数である 76-x をかけてやれば良いのです。

合わせる

これで準備が整いました。得られたものは、

  • 病気を持つ人の内、陽性の人数:0.9x
  • 病気を持たない人の内、陽性の人数:0.1(76-x)

です。そして、陽性全体は 10人ですから、この2つを足し合わせると10になる訳です。
0.9x + 0.1(76-x) = 10
これが、私達が探し求めていたものです。後はこれを解きます。
9x + 76 - x = 100
8x = 24
x = 3
という事で、この問題の仮定を取れば、有病者の数は 3人となる事が判りました。
ところで、図は便宜的に、全部同じ大きさにしていますが、これはそれぞれ、有病者と非有病者を全体とした時の割合を図示したものであって、有病者と非有病者が同じ人数であるという意味ではありません。と言うか、この四角形がどのような比になるかを調べた訳ですね。
おまけ