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個と集団

NATROM氏は「ホメオパシー」の夢をみるか? - Togetter

化学物質過敏症を主張する人が本当に化学物質に反応してるかどうかは二重盲検をやるまでわからないんですよね?だったら、その二重盲検をやるまでは、ある人の主張が正しいか間違ってるかはわからないわけですよね?だとすると、その試験をやる以前の相手に関して「因果関係はない」と決め付けるのはダメですよね?

論理的厳密にはそうかも知れません。けれど、この論法を認めるならば、ある病気の原因であるとか、ある療法に効果があるのか、という所について、一般的な事は何も言えなくなります。それは一つの見解でしょうが、もし態度を一貫させたいと考えると、他の病気や療法に関しても同じような見方をする必要があるでしょう。たとえば、「ホメオパシーレメディは効かない」と表現する事も出来ないでしょう。何故ならば、レメディが効く人は存在するかも知れないから。ですから、私はレメディを試したら効いた、と主張する人にも、これからレメディを試したいが果たして効くのか、と疑問を持っている人に対しても、「それは効かない(効かなかった)」、という意見は言えなくなります。
尤も、その辺りを考慮して、それはあなたには効くかも知れない、けれど色々な人で試した結果、効かない事はもう解っている。それを理解して使うのなら自由にすれば良い、というような言い方をする人もいるでしょう。
ここまでを踏まえて化学物質過敏症の話に適用するならば、ある個人について言えば、確かに極微量の何らかの物質によって症状を呈している可能性は論理的に否定し切れない、けれども、集団を調べた結果を考えれば、その可能性はかなり低いだろう、と表現出来る、となるでしょうか。それが、効かないとか因果関係が無いと言われる場合もあるでしょう。
そして、NATROMさんは初めから、そのように主張しています(それを説明したのが前のエントリーだったりするのですが)。
ところで、ホメオパシーレメディが効かないと言われる理由は、既知の理論的に有り得そうも無いからではありません。何度も試してみて、臨床的に意義のある効果が無いという事が解ったからです。
比較すべきは、理論的にどの程度有り得そうか、というよりは、臨床的な証拠の量と質、となるでしょう。
従って、NATROMさんに対する反論というのは、

  • 因果関係が無いという証拠として提示されているものの質も量も足りない
  • 因果関係があるという質の良い証拠がいくつもある

これらをきちんと示す事でクリティカルなものとなるでしょう。そして、その証拠の質の評価は、統計解析や実験計画法も含めた、極めて具体的な知識に基づいてなされる必要があります。二重盲検法を用いたという表現だけでは、この種の議論では足りないと思われます。と言うのは、二重盲検法を行ったというのは、その他の計画や操作(サンプリング、無作為化、尺度の構成や測定の適切さ、用いた統計解析の方法、等)が適切に行われた、という事を含意しないからです。有意であったとか有意差があったというのもそうです。それは、帰無仮説が棄却された事を示すに過ぎません。その結果は、二重盲検法を行ったという事と同じく、他の研究計画の諸々の条件と合わせて総合的に評価されるべきものです。