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2つの割合

20代男性:40%が性交渉なし 家族計画協会アンケ - 毎日新聞
この内容で言えば、2つの割合に注目するのが肝要に思います。

調べようとした対象/知りたい対象

知りたいのは多分、日本に住む成人全体、といった所でしょう。これが分母。そして、その内で、調べようとしたのは、全国の20〜69歳の男女約10万人に電子メールで依頼とあるから、100,000 です。で、分母の具体的な数はと言えば。
人口推計を見ると 人口推計−平成26年1月報−(PDF)

・15〜64歳人口は 7918万2千人で,前年同月に比べ減少 ▲120万8千人(▲1.50%)

とあり(強調引用者)、実際の調査した年代に合わせて、20歳から69歳の人口を知りたい全体と絞って考えても、数千万人はいる、と言えます。従って、調べようとした対象は、調べたい全体の内の、ごくごく小さな割合です。つまり、仮にその10万人を調べ切ったとしても、全体からすれば、わずかな部分の事を知れたに過ぎない、となるでしょう(10を数千で割ったものだから)。
10万人、というと一見すごく多そうだ、と感じますが、ある数値が大きいか小さいかは、何を確かめたいか、とか、何と比較するか、によります。

調べる事が出来た対象/調べようとした対象

調べようとしたのは、記事にある10万人です。で、実際に調べる事が出来た数はどのくらいでしょう。

回答した5000人を集計の対象にした。

だそうです(毎日記事より。強調引用者)。
ですので、調べる事が出来た対象/調べようとした対象 は、5000/100000 で、5%です。これも実に小さな割合。5000人とあるといかにも沢山、と見えるかも知れませんが、前の節と同じく、何を確かめたいかによります。
そして、実際に調べる事が出来た数が、知りたい対象の内どのくらいの割合かと考えると、それは極めて小さいものです(5000/数千万)。調べられたのはそういう僅かの部分ですから、記事にある、

北村邦夫専務理事は「男性の草食化が話題になる中、20代の男女差は顕著で驚いた」と話している。

という感想は、些か気が早いように思います。もちろん、調べた中(5000人)での割合はその量なのでしょうが、わざわざ調査めいた事をするのだから、より大きな集団について知りたい、という意識があるのでしょう。それを考えると、この結果からは、知りたい全体に関しては特に何も言えない、とするのが妥当と考えます。

調べ方

いや、確か、調べたい対象がとても多くても、その内の数千人を調べれば良い、と聞いた事がある、という方もあるかも知れません。
けれどそれは、調べる対象の採り出し方が違うのです。いわゆる無作為抽出というやり方、あるいはそれに準ずる方法が行われたか。記事を見ると、メールでのアンケートである事、依頼対象が10万である事、を考え合わせると、そのような方法であった可能性はあまり無いと思われます。そういう方法の事を知っていれば、そもそも10万もの人を対象にはしないでしょうから。また、仮に無作為性が確保されていたとしても、その回収の割合はかなり小さいものです(回収率と言う)。5000/100000 だから5%という小ささ。最初は5万を5千に誤記したのかも知れない、と思ったくらいです。

見方

これらの事を踏まえると、この調査の結果をもって、男女差を云々したり年代の傾向を読み取るには慎重になる必要があると言えます。5000人、というのはインパクトが大きいので、たとえば、この記事から情報が欠落して、5000人を調べたアンケートで20代男性は40%だったというような要約(とは言えないけれど)をされ伝達された時、いかにも大規模な調査結果で、それは信用できるのかも知れない、と直感されるやも知れません。安易にそうならないために、割合や比較対象、調査対象の集め方、などを意識するべきですね。産経の記事タイトルのごとき、20代男性、草食化? 40%「性交渉なし」 - MSN産経ニュースなどという表現は早計です。