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○周年

前のブログ開設から合わせて9年?ですかね。結構長くやってますな。
更新頻度は少なくなってきてますが、ぼちぼち続けます。読んで下さっている方には、これからも、よしなに。
今年の振り返りとして、読んで、良かったな、と思った本の紹介。

プログラミング関連の本で、全くの初学者向けのものとしては、私が知っている中で最良。用語より概念と構造を先に教える、という私の標語?に合致しています。これこれこういう用語がある。その用語はこういう意味・定義である、というのは、その語を知らない人にとっては、用語と概念を一緒に憶える必要があって、それは負担。そうでは無くて、これこれこういう論理構造や概念があって、それは日常のこういうものと共通している、というようにアナロジーで憶えてもらってから、その概念や構造を指す用語としてこれがある、と示した方が憶え良い、と私は思うのです。
書評⇒【書評】思考の道筋――平山尚『プログラムはこうして作られる プログラマの頭の中をのぞいてみよう』 - Interdisciplinary
こういう入門書が書けると良いですね。
マンガ 統計学入門―学びたい人のための最短コース (ブルーバックス)

マンガ 統計学入門―学びたい人のための最短コース (ブルーバックス)

全然入門書などでは無く、むしろ、ある程度勉強した人向けの本。他の本にはあまり載っていないような豆知識があるので、結構有用。関連(連関)と相関を区別しない人もよくいるので(区別しなくても話自体は出来るから)、そこら辺の由来などはためになると思います。
書評⇒【書評】コンパクトな統計学史:『マンガ 統計学入門―学びたい人のための最短コース』 - Interdisciplinary
「ニセ医学」に騙されないために   危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

書評( 【書評】層・射程――NATROM『「ニセ医学」に騙されないために』 - Interdisciplinary )では、どちらかと言えばネガティブな感想を書いたのですが、良書である事は間違いありません。
元々知識を持たない人にはあれでもむつかしいかも、と思いますが、固めの本を読み慣れている人にとっては、恐ろしく明瞭な文章です。あれほど綺麗に組み立てられる人は、あまりいないでしょうね。
参考書として傍らに置いてあると便利な一冊。
しっかり学ぶ基礎からの疫学

しっかり学ぶ基礎からの疫学

改めて精読した、疫学の教科書。具体例が豊富で、色々な概念が丁寧に説明されている好著です。私が、見かけの関連という用語にもやもやしている所に一つの答えをくれた本でもあります。ちなみに、「腸チフスのメアリ」を知ったのもこの本。
疫学ついでに。
『ロスマンの疫学』の新しい版が出ているので、こちらも買って読む予定です。
ロスマンの疫学―科学的思考への誘い

ロスマンの疫学―科学的思考への誘い

哲学思考トレーニング (ちくま新書)

哲学思考トレーニング (ちくま新書)

評判が良いのは知っていましたが、今年読みました。哲学とは何ぞや、と言うよりは、(タイトルに「哲学思考」とあるように)哲学における考え方のエッセンスを紹介し、日常的な思考に結びつけて説明している、という感じでしょうか。リスクの考えやクリティカル・シンキングなど、議論の基盤に据えておきたい事について丁寧に書かれているのでお勧め。
信頼性工学のはなし―信頼度99.9999…%をめざして

信頼性工学のはなし―信頼度99.9999…%をめざして

ここではお馴染み、大村平さんの本(私が読んだのは旧版)。これは大変に良いものです。大村さんの本は何と言っても、想像しやすい具体例に華麗に結び付けて説明する、という職人芸的な わざ が特色ですが、この本においても、それが遺憾無く発揮されています。誤り訂正を説明するのに身近のバーコードで説明したり、チャレンジャー事故に絡めて大村さん自身の整備時の体験のエピソードが披露されたり。平均寿命概念なんかは、この本より解りやすいものは、あまり無いかも知れません(ただし、基本的な確率の考え方などの理解は要るでしょう)。
このご時世、リスクというものを定量的に把握して意思決定に役立てる、という事の重要さが、より身近になってきたと言えるかも知れません。そういう所に関わる知識を得るために好適な本、だと思います。実際、信頼性云々は、身近の工業製品と密接に関わっていますからね。参照する価値のあるものです。
心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

心理統計学の基礎―統合的理解のために (有斐閣アルマ)

続・心理統計学の基礎--統合的理解を広げ深める (有斐閣アルマ)

続・心理統計学の基礎--統合的理解を広げ深める (有斐閣アルマ)

今月に続編が発刊された、南風原朝和氏のシリーズをまとめて。
私が考えるに、前著『心理統計学の基礎』は、統計の基礎を身に着けるための本として、全統計分野を見渡しても、最良の部類に入るものなのでは無いでしょうか。教科書なので、文体は固めではありますが(ただし「です・ます調」)、文章は極めて明晰、用語の説明は厳密・丁寧、論の運びも具体的で飛躍が無くなだらか、という特徴を兼ね備えていて、教科書としての一つの理想型なのではないかと思います。
ただし、位置づけ的には一応入門書の部類ではありますが、見方としては、書名にあるように、「基礎」を固めるためのものであって、決して、「元々統計の知識が全然無い人向けの本では無い」という風に捉えておいた方が無難ですね。その意味で、とても良い本で面白いものではあるけれども、「簡単」では無い、と言えます。確率の概念の説明もほとんどありませんし(私は、確率を理解しないと統計はまるで解らないと考えます)、まずその辺りを押さえてから取り掛かるべき本です。喩えると、スルメのようなものですね。噛めば噛むほど味わい深い、美味なるものですが、決して食べやすいものでは無く、あまり気軽に食べようとすると消化不良を起こしてしまう。そんな感じでしょうか。
続編はむつかしいです。有斐閣アルマシリーズは、色で難易度と言うか、レベルを分けているのですが、最高レベルの青(「高度な学習を目指す人に」)なので、備えてから読むべきですね。
微積分学講義〈上〉

微積分学講義〈上〉

微積分学講義 中

微積分学講義 中

微積分学講義[下]

微積分学講義[下]

来年以降の目標として、確率論の理解を深めるために、基盤となる解析学線形代数をちゃんと勉強する、というのがあります。それで本を探していて、これを見つけました。今は上巻を買って読んでいる最中です。
全体を読み切っていないのであまりはっきりとは言えないのですが、これは、独習にも最適な、ものすごい良書ではないかと思います。説明が徹底的に具体的・丁寧・グラフィカルで、とにかく読者に解らせようという工夫がうかがえます。訳者も、原著を初めて手にしたとき,著者達はこの教科書のためにどれだけの時間と手間を掛けたことかといささか呆然とする思いにとらわれました. 本書のような微積分学の日本語の教科書をこれまで私はみたことがありません.(訳者はしがきより)と書いています(訳者は井川満氏)。標準的な教科書は、整然と知識を紹介しているけれども、簡潔過ぎて、「ここはどういう事なのだろう」と、ふと疑問に思うような所などに関しては、省略してあったりします。それは独習者には厳しい事で、ほんのちょっとしたポイントを理解するのに、別の文献を調べて、結局解るのに何時間もかかった、となって、甚だ非効率な場合があります。基本の知識を身に着けるという段階でこれが起こるのは、とても不合理な事ですので、出来れば、同じ場所で色々なものを押さえておいて欲しい。もちろんそうすると、ページ数が多くなる訳で、実際この本は三分冊という大部の本ですが、私のような独習者にとっては、むしろそうして欲しかったりするのであります。
私は、数学の理論でも何でも、まず「ビジュアルで理解」しないと、どうにも「解った」と思えないようなのです。高度に抽象的になると、そこに拘ってもいられないのでしょうが、とにかく取っ掛かりはグラフィカルに認知しないと、気持ちが悪いと言うか。その観点から言ってもこの本は、図表の占める割合が大きくて良いです。
確率統計を勉強していて、ああ、実は微積分学をちゃんとやらないとどうしようも無いのだ、と気付き、それらを勉強してこなかった事に愕然とした、という方も多かろうと思います。で、途方に暮れているだけでは知識は増えようがありませんので、何とかしなくてはなりません。そういう人にとって、本書は光明になるやも知れません(ただし、中学・高校で習う程度の数学の理解は無いと厳しいと思うので、そこら辺は、大村さんの「はなし」シリーズなどでカバーしましょう)。

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こんな感じです。ちょっと色々あったりして、今年はあまり本を読めませんでした。読みたい本は沢山あるので、来年は読書にも時間を割ければ良いですね。読みたい本はこんな感じ。

イラストで学ぶ 人工知能概論 (KS情報科学専門書)

イラストで学ぶ 人工知能概論 (KS情報科学専門書)

twitter経由で知ったのですが、とても良さそうな本。人工知能とか機械学習とかは面白そうな分野なので、もっと勉強してみたいですね。
ロスマンの疫学―科学的思考への誘い

ロスマンの疫学―科学的思考への誘い

上でも紹介したロスマンの本。改訂されたそうです。特に因果推論の議論などは、もっと勉強する必要がありそうです。
実例で学ぶゲームAIプログラミング

実例で学ぶゲームAIプログラミング

買って置いてある本。オライリーのサイトに試し読みがあったので読んでみたら、大層良さげだったので、購入しました。こういった本で実用的・応用的なアルゴリズムを勉強していけば、基礎的な数理の理解にも繋がってくるのではないかと期待しています。尤もそれ以上に、私はこういう、ゲーム的なもののアルゴリズムの解説がとても好きなので読みたい、という単純な理由が大きいのですが。

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こんな感じで、今後も勉強を続けていく所存。ここにもちょこちょこと書いていきましょう。読んでいる方には、色々アドバイスを頂ければ幸いです。
という事で、良いお年を。