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情報が無い内に

川島なお美さんの時もそうでしたが、和田光司さんが逝去された事について、ホメオパシーあるいは、それを含む代替療法によって寿命が縮まったとか、手遅れにした、というような意見があります。しかし私は、現時点において得られる情報に基づいて、そのような断定的な主張はなされるべきでは無い、と考えています。

和田さんが、twitter上で帯津氏の書籍を紹介なさったのは、比較的最近の事( http://twitter.com/wada_koji/status/714947688102371328 )ですし、そこで紹介されているようなものについて、果たして のめりこんでいたのか、もしもそうであったとして、いつごろから取り組んだのか、などは、ほぼ解りません。そもそも、ホメオパシーレメディを使っていたかどうかさえ、定かではありません。

代替療法にも色々の種類があり、それ自体が身体に危険な機械的刺激を与えたり、投与される物体そのものが薬理的な有害作用を及ぼす、という場合もあれば、与えられるもの自体は何ら好影響も悪影響ももたらさない、という類もあります。ホメオパシーレメディがそうです。それで、そのようなものが有害とされるのは、標準医療を遠ざけさせる場合があるから、です。従って、それ自体が有害な作用を持つので無ければ、標準医療と共に用いられていれば、代替療法そのものは、毒にも薬にもならない事もあります。

それを踏まえて、和田さんのつぶやきを見ると、食事療法に取り組んでいる様子はありますが、たびたび通院しているという記述が見られますし、毎日飲んでいる薬について言及なさっている箇所もあります( http://twitter.com/wada_koji/status/652250809694969856 )。また、昨年には、標準医療の薬物療法を受けていると思われる場面の写真も投稿されています( http://twitter.com/wada_koji/status/628779507067981824 )。

▼これは2014年の記事ですが、和田さんの闘病に関するインタビューです。

yomidr.yomiuri.co.jp

ここには、苛烈な闘病の様子があります。手術・抗癌剤放射線治療の標準治療(いわゆる三大療法)を受け、その副作用に苦しみ、更に再発を繰り返すという、大変に厳しい内容です。

これらを参照するに、和田さんが、標準的な療法を忌避して代替療法に取り組んだという事を明らかにする証拠を見いだせません。少なくとも、半年くらい前までには、通院や投薬をしていたという記録があり、その後にどのようなものに取り組んでいたかは不明確です。

確かに、ホメオパシーなど、代替療法の中には、効果が無いにも拘らず大きな効果があるように喧伝され、結果、標準医療を遠ざけさせ、結果的に取り返しのつかない事になってしまったと考えられ、法的に争われた事例もあります(ケイツーシロップ事件など)。しかし、実際に代替療法がどのように用いられ、どのような結果をもたらすかは、まさにケース・バイ・ケースであって、十分な情報が揃わない内に、ものを言ってはならないのです。であるのにそうしてしまい、代替療法の害悪を強調し、持論につなげてしまうのは、ニセ科学やニセ医学が、ありもしない、あるいは確かめられていない効果を喧伝する、というのとはまた違う意味で牽強付会である、と私は考えるのです。個別の人の生死に関する因果関係を論ずるのは、極めて難しい問題なのですから。

たとえば、冒頭でも挙げた川島なお美さんに関しても、川島さんが具体的にどのような過程を辿ったか、どういった療法を受けあるいは受けなかったのか、といった事は、逝去の報道からしばらくしてから、夫の鎧塚氏の著書などによって段々に明らかになってきた訳です。ある個人がどのような認識に基づいてどのような行動を取り、それがどんな帰結をもたらしたか、という事の検討は、極めて慎重に行うべきなのです。