赤ん坊とプラセボ
「赤ん坊にプラセボ反応が起こるはずがない」と言う意見について。※以下、そういう意見を鉤括弧付きで「それ」と表す
「プラセボ効果」を、
- 与えられる者が「効くという言語的な信念を形成して」生理的な反応を促す
という意味であるとすれば「それ」は正しい。何故ならば、新生児や乳児は言語を解さないから。養育者がいかに言語的に働きかけても、それが認知的変化を促しはしない。
「プラセボ効果」を、
- 何らかの物体を与えられるという刺激に対する条件反応まで含めた、より一般的な心理学的反応
をも指すとするならば、「それ」は必ずしも正しくない。何故ならば、与えられる側が「効く」と言語的に認知するのを必要条件としない現象であるから。
「プラセボ効果」を、
- 「与える者」の認知―行動 つまり、「効く」という信念が、与えられる側への「対し方」に変化を促す
ことまで含めるとするならば、「それ」は必ずしも正しくはない。何故ならば、「与える側」の心理的変化を指し、与えられる側の認知的な変化を前提としないから。
こういう部分を考えて整理しておかないと、たとえば「動物にはプラセボ効果はないから・・・」「植物も・・・」と言った意見にちゃんと対応出来ない場合があるので、よくよく考えておくこと。*1
今回の事例は、「広い意味での”プラセボ反応”が発揮された《としても》どうしようもないのに適切な処置(ビタミンK投与 参照⇒http://square.umin.ac.jp/jin/text/K2.html)を行わなかった」ことが惹き起こしたかも知れない場合、と捉えるべきものであろうと思われる。