バカじゃない、薔薇だ

とても初めましてようこそ、id:rosechild様。

らんぼうに見える問いを丁寧に考えて頂き、恐縮でございます。

この問題、おそらく、「議員の半分はバカ」と「議員の半分はバカではない」は同じであろうと思われます。なぜならば、実は、議員集合は、バカさという属性に関して「バカ/バカではない」の二値のいずれかであるという恐ろしい事実があったのです。

さて、ここで一つ、図を頭の中で描いて頂くとします。まず円を描き、その直径に沿って線を引き、出来た半円に色を塗ります。円は議員の集まり、色を塗った半円はバカの集まりです。つまり、くだんの議員さんは、この円の半分には色が塗られている、と言ったのと同じな訳ですね。

ん? ということは、、、そうです、「この円の半分には色が塗られている」は、「この円の半分には色は塗られていない」と同じ意味であると。これを再び議員の話に置き換えるならば、「議員の半分はバカだ」と「議員の半分はバカではない」が同じ意味と取れる、となる寸法であります。

よく考えてみると、議員さんは、単に「半分」と言ったのみで、「誰と誰と誰と・・・」と具体的には示していません。先程の円で言うと、色分けした円をくるっと回せば、同じ「半分バカで半分バカでない」パターンが沢山出来ると。思い出してみれば、議員さんは謝罪のとき、「議員の半分はバカではありません」と言っただけであって、「さっきバカだと言った議員以外の半分の議員はバカではありません」と言ってはおらず(最初と全く同じ人をバカとみなす)、「さっきバカだと言った議員はバカではなく、バカではないと言った議員はバカです」(最初と正反対とみなす)とも言っていないのでありますからして。「議員の半分はバカではありません」と言い直したとしても、それはもしかすると、最初にバカだとみなした議員の一部を改めてバカだと言っているかも知れないのであります。

ろんり(論理)としゅうごう(集合)の話として見るならば、「議員の半分はバカ」を否定するならば、「全ての議員はバカではありません」と考えるのが妥当でありましょう。

しかし慌ててこれでお終いにしてはいけません。「議員の半分はバカ」を否定するのはもう一つあります。そう、「全ての議員はバカです」と言っても、それを否定することになったのです。

くだんの議員さんが、「ただいまの失言を取り消します。町会議員は全員バカです」(『論理と集合のはなし』(P6))と言えば痛快であったかも、とは参考文献の著者、大村氏の評であります。
参考文献:

論理と集合のはなし―正しい思考の法則 (1981年)

論理と集合のはなし―正しい思考の法則 (1981年)

論理と集合のはなし―正しい思考の法則

論理と集合のはなし―正しい思考の法則