社会調査の実際

事例でよむ社会調査入門?社会を見る眼を養う

事例でよむ社会調査入門?社会を見る眼を養う

面白い本。
類書とはちょっと趣が違っていて、統計的な説明などはあまり出てきません。それよりも、ワーディング(質問の際の言葉の選び方や配列)が中心的な感じです。細かい言葉の違いが回答のされ方に影響を与え得る、というのを、非常に豊富な実例(各種マスメディアの世論調査や筆者自身の小規模な調査)をもって示してくれます。たとえば、質問の順番を換えたり、質問内の言葉の順序などを変更する事によって、論理的には同じ内容の質問なのに、回答の傾向が違ってくる、といいます。キャリーオーバー効果などは有名ですね。そういった事例が沢山出てきます。

個人的に収穫だったのは、いわゆる「ギャラップの敗北(勝利は知っていても敗北はあまり知られていないかも)」の前に、日本においてランダムサンプリングによる社会調査が行われていたらしいのを知った事。これは知りませんでした。詳しく確認していませんが、1947年3月に輿論科学協会が行った、東京都知事選の予測との事。

ちょっと気になったのは、性格心理学的な部分。性格の構造論が紹介されていますが、もしかしたらスタンダードなものでは無いかも。ちょっと知見を押さえていないので自信がありませんが、気をつけておいても良いかも知れません。