原因
O157で男性死亡、千葉 禁止前のレバ刺し食べる - 47NEWS(よんななニュース)
感染経路は不明だが、6月末に飲食店で、7月から提供が禁止された生の牛レバー(レバ刺し)を食べており、関係を調べている。
(強調は引用者)「感染経路は不明」「関係を調べている」とはっきり書かれています。しかるに、記事のタイトルには、「禁止前のレバ刺し食べる」と敢えて入れてあります。
もちろん、これまでに得られた科学の知見によって、これが原因である蓋然性が高かろう、という推測は出来ますから、レバ刺しが原因ではないか、と推論する事は別におかしな話ではありません。しかし、「最も原因に接近出来る」人達がまだ調査中であり感染経路は不明となっているのだから、「まだ判っていない」のです。これが現時点で最も重要な情報です。だから、今の所は、「レバ刺しが原因で亡くなった」と言うのは不用意です。
マスメディアの情報が誘導的ではないか、という懐疑的な見方は、しばしばクリティカル・シンキング的なものの考え方の文脈で語られます。意図的にしろそうで無いにしろ、まだ強調されるべきで無い情報が強調されたり、あるいは誤った方向へ印象づけられたりする事がある。そして、タイトルのつけ方や、文章での現象の要約の仕方に気をつけて考察する必要がある。
食中毒関連の情報で、当事者では無い我々が得られるものの内、最も信用のおける確実なものは、各都道府県、保健所、厚生労働省などが発表する資料です。そして、食中毒は公衆衛生の問題ですから、概ね迅速に発表されます。マスメディアが報道した時点で既に発表されているか、もしくは数日中に発表されます。ですから、マスメディアの報道によって知るニュースの中でも、比較的ソースを調べやすい、あるいは辿り着きやすい部類のものです。WEB上で探せるのですから、それを参照しない手は無いでしょう。
私が食中毒発生状況を参照出来るリンク集を作ったのも、なるだけ素早く、詳しく確実な情報を見つけられるようにする、というのが狙いでした。各都道府県のサイトは、ものによっては非常に入り組んでいてすぐには解らないのもあるので、いっそ、全て調べ尽くして作っておけば便利だ、と考えたのです。
ともかく、食中毒関連情報は、比較的簡単にソースが調べられます(一旦場所が解れば後は結構容易い)。もし、マスメディア等の報道を懐疑的に見るという志向があるならば、少しの手間をかけて探しに行くのが良いのではないかと思います。