参鶏湯
アニメ「さくら荘のペットな彼女」6話のサムゲタンは極めて優れた演出だと思っている - 情報の海の漂流者
こちらのエントリーについたブクマへのメタブクマコメントでも書いたのですが、演出の意図について、制作者は「答え」を持っているはずなんですよね。無くてはおかしい。
けれど、色々な推測や憶測が渦巻いて議論が紛糾している。虚しい事です。理屈的には、制作者が意図を説明すれば終わるはずだけれど、こういう情況になったら、制作側が何か発表するのもむつかしいだろうし(タイミングや言葉の選び方等、慎重にならざるを得ない)、説明した所で、憶測の渦はおさまらないでしょう。「裏」を読む人はいくらでも出てくるだろうから。
で、fut573さんの記事についてです。
※注意:本エントリーには、アニメ『さくら荘のペットな彼女』の6話の内容のネタバレが含まれます。未視聴の方はご注意下さい※
ネ
タ
バ
レ
注
意
丸鶏を買うのってむつかしいですね。私は日常的に料理をするし、買い出しにもよく行くけれど、丸鶏が地元の店でどっか売ってるかなあ、と考えても思い浮かばない。料理に手間がかかるのはその通りだけど、作る手間の前に、買う手間も相当かかるですね。解釈としては、馴染みの肉屋が売ってる、的なのもあるでしょうけれど、原作の設定的にそういう解釈の余地があるかは知らない。
当該料理がどのくらいポピュラーか、という点については、
- 名前を知っているか
- 見た目を知っているか
- 食べた事はあるか
- 作り方を概ね知っているか
あたりに分解して検討するのも重要かも知れません。日本における一般的な知名度を把握するのにgoogleトレンドがどのくらい使えるかは、熟考の余地ありでしょう。クックパッドでの件数しかり。
サムゲタンを提供するのが愛情の深さを示す記号として上手く機能するには、(ブクマでも指摘されているように)作る手間がかなり掛かる、という知識が共有されている必要がありますね。無いならば、アニメ内の描写で補足する、と。
ただこれについては、仮にそれがさほど知られていないとしても、「制作者が、作り方も含めてサムゲタンがポピュラーな料理だと“思い込んでいた”」という解釈を施せば、「演出意図」の推測は可能です。他意は無かったけど演出は下手だった、みたいなね。まあ、ほとんど際限無くこの種の想像は出来ます(だから虚しい。答えはあるはずなのに)。
取り敢えず、制作者は当該料理を、そのような、愛情を象徴する記号として用いたと前提してみます。それで、実際にそれが意図通りに(ここで意図と言っているのは仮定ですよ)上手く機能し得たかどうかは、予備知識無しに観た(騒ぎを知った後だとバイアスが掛かる)人がどう思ったか、という感想を調べるしか無いですね。いやサムゲタンに手間が掛かるとか知らんし、て人が多いなら、あまり説得力は無いのかも知れません。
他に、ポピュラーかどうかを確かめるものとしては、レトルト食品のラインナップを調べたり、それらの売上を見る、といったアプローチが考えられるでしょう。調理の手間が掛かる、という知識は、調理済みの物を買ったりするだけでは解りませんけれど、商品の謳い文句に、本来手間が掛かる料理が簡単に食べられる、的な事が載せられていればインプットされる可能性は あります。
クックパッドの件数は、「他のポピュラーな料理での件数」と比較対照するのが肝要ではないでしょうか。それもブクマコメントでの指摘にありましたが。何と比較するか、はよく考えるべきですが。
「極めて優れた演出だと思っている」という評価は早計じゃないかなあ。演出が優れているか、というのは結局、沢山の視聴者がどのように感じたか、という所次第でもあるでしょうから、いくつかの分析を行い、このように解釈出来るから優れている、とするのは、少々危なっかしいように思うのです。
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付け加え
本題は、演出が優れているかどうか、という所では無くて。
サムゲタンがポピュラーな料理であるか、といった部分は、調べれば把握出来る証拠によって支持出来る類のものだから(マーケティングリサーチ的な所とも関わるでしょう)、よく吟味して証拠を固めるのが重要だしそうすべき、というのと、演出の「意図」については、「答え」があるし、その答えを持っている人達ははっきりしている(極めて限定される)ので、本質的には、その人達が説明しないと話にならない、というのは押さえておきたい所。問題としては分けられるし、分けておいた方が良い。
もちろん、答えを持っている人が本音で説明するか、とか、その説明を受け取った人がどう解釈するか、等は、また別の、とても難しい問題であるけれども。