後ろ向きコーホート研究

疫学の用語の中でもトップクラスに紛らわしいものではないかと思っています。何しろ、後ろ向きコーホート研究は、後ろ向き研究であり、解析の時間的流れは前向きであるから。

なので、後ろ向き研究後ろ向きコーホート研究省略表現などと考えてしまうのは、断じて間違いなので、気をつける事。

そういう事情を考えると、回顧的コーホート歴史的コーホートなどの表現のほうが、概念を把握しやすいと感じます。

私が気に入っているのは、

臨床疫学 EBM実践のための必須知識 第3版

臨床疫学 EBM実践のための必須知識 第3版

この本(※私が参照したのは初版)で historical cohort の訳語としてあてられている、既往コホートコーホートという表現。

後ろ向き研究とコーホート研究の違いは、

  • 要因(曝露)対照か
  • 症例(患者)対照か

という所なので、そこをしっかり押さえておく事。説明の際に、後ろ向きやコーホートの表現を避けて、要因対照 / 症例対照 を用いるという手もありますね。こうすると、何を基準に集めて比較したかが解りやすいので。

私としては、

  • 曝露対照研究
    • 既往曝露対照研究
    • 計画的曝露対照研究
  • 帰結対照研究

とでもすると、すっきりして良いかなと思います。