《過剰診断》を《誤診の意味でのみ》用いるのだとしたら

もし、題のごとく考えるのだとすれば、私は次の質問を投げかけます。

高血圧や精神疾患方面におけるoverdiagnosisはどう捉えるのか

overdiagnosisの議論は、何もがん検診に限定された話ではありません。がん検診以外の方面でも、overdiagnosisを誤診の意味でのみ用いるべきと言いますか? そちら方面にも用法の変更を求めるのですか?

前の記事でも書いたように、overdiagnosisの概念は、その契機として

  • overdefinition
  • overdetection

に分けられる場合があります。これを設定する事によって、議論の見通しが良くなります。そして、高血圧や精神疾患等におけるoverdiagnosisは、むしろoverdefinitionの問題として捉えられます。つまり、線引きがより重要となる訳です。たとえば次のような論文があります↓

Overdiagnosis or not? 2017 ACC/AHA high blood pressure clinical practice guideline: Consequences of intellectual conflict of interest - PMC

この題は、高血圧の定義の文脈で、過剰診断か否かとなっています。こういう議論があっても、overdiagnosisを誤診の意味限定で用いるべきだと考えますか? きちんとoverdiagnosisの議論を追っていれば、こういう所も押さえておく必要がある事が解るはずなのです。

ついでに、最初のほうから引用します。

Narrowly defined overdiagnosis, for example, in cancer screening, refers to diagnosing cancer that would otherwise not go on to cause symptoms or death.6 Broadly defined overdiagnosis includes expanding the diagnostic criteria of the disease to increase the number of people diagnosed as having the disease, with subsequent treatment offered to newly diagnosed group ending up with extremely small additional benefit. In this case, even if the benefit from the treatment exceeds the harm, if the difference is extremely small, this is at most called as low‐value care.

翻訳サイトで翻訳します。

例えば癌スクリーニングにおける狭義の過剰診断は,そうでなければ症状や死亡を引き起こさないであろう癌を診断することを指す。広義の過剰診断には、疾患の診断基準を拡大して疾患と診断される人の数を増やし、その後の治療を新たに診断されたグループに提供することが含まれますが、追加の利益は非常にわずかです。この場合,治療の利益が害を上回っていても,その差が極端に小さければ,せいぜいローバリューケアと呼ばれる程度である。みらい翻訳|AI自動翻訳サービス・機械翻訳
狭義の過剰診断とは、例えばがん検診において、本来なら症状や死亡に至らないはずのがんを診断してしまうことである。広義の過剰診断とは、病気の診断基準を広げて病気と診断される人を増やし、新たに診断された人に行った治療が極めて小さな追加利益にしかならないことを指す。この場合、治療による利益が害を上回ったとしても、その差が極めて小さければ、それはせいぜい低価値医療と呼ばれる程度である。DeepL Translate: The world's most accurate translator

どうして私が、がん検診の文脈では余剰発見(overdetection)を積極的に使っているか、解るでしょう。