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後ろ向きコーホート研究

疫学の用語の中でもトップクラスに紛らわしいものではないかと思っています。何しろ、後ろ向きコーホート研究は、後ろ向き研究であり、解析の時間的流れは前向きであるから。

なので、後ろ向き研究後ろ向きコーホート研究省略表現などと考えてしまうのは、断じて間違いなので、気をつける事。

そういう事情を考えると、回顧的コーホート歴史的コーホートなどの表現のほうが、概念を把握しやすいと感じます。

私が気に入っているのは、

臨床疫学 EBM実践のための必須知識 第3版

臨床疫学 EBM実践のための必須知識 第3版

この本(※私が参照したのは初版)で historical cohort の訳語としてあてられている、既往コホートコーホートという表現。

後ろ向き研究とコーホート研究の違いは、

  • 要因(曝露)対照か
  • 症例(患者)対照か

という所なので、そこをしっかり押さえておく事。説明の際に、後ろ向きやコーホートの表現を避けて、要因対照 / 症例対照 を用いるという手もありますね。こうすると、何を基準に集めて比較したかが解りやすいので。

私としては、

  • 曝露対照研究
    • 既往曝露対照研究
    • 計画的曝露対照研究
  • 帰結対照研究

とでもすると、すっきりして良いかなと思います。

疫学における「原因」の考えかたと、指標について――指標一覧・参考資料

ご案内

本エントリーは、疫学における原因の考えかたと、それにまつわる指標について説明した連載記事の一部です。
連載は、以下の記事からなっています。

原因に関する指標の一覧

これまで見てきた指標を、一覧にしました。

  • 連載では説明しなかった指標も入れてあります(相対効果など)
  • 具体的に、視覚的にも把握出来るよう、NATROM さんが例示されたものを、図と計算に用いました
  • 全人口を 10,000 人として計算してあります

f:id:ublftbo:20170204235810p:plain

指標 教科書的表現 英語表記及び省略表記 指標の内容 指標の計算 ※色付き■は対象領域を併合する事を表す 計算結果
曝露 曝露無発生 曝露されたが発生しなかった数 4,950
曝露発生 曝露されて発生した数 4,950
曝露数 曝露された総数 9,900
非曝露 非曝露無発生 曝露されず発生しなかった数 95
非曝露発生 曝露されなかったが発生した数 5
非曝露数 曝露されなかった総数 100
人口 全人口 ・人口
・集団
Pop 対象全員の数 10,000
全発生 発生した総数 4,955
曝露割合 対象全員に占める、曝露された人の割合 ÷ 0.99
非曝露割合 対象全員に占める、曝露されていない人の割合 ÷ 0.01
1 から曝露割合を引く 1-曝露割合 0.01
絶対リスク 曝露群内リスク ・危険(曝露群)
・絶対危険(曝露群)
・リスク(曝露群)
・累積罹患割合(曝露群)
・risk
・CIP: cumulative incidence proportion
・IP: incidence proportion
・AR: absolute risk
曝露群における発生した人の割合 ÷ 0.50
非曝露群内リスク ・危険(非曝露群)
・絶対危険(非曝露群)
・リスク(非曝露群)
・累積罹患割合(非曝露群)
・risk
・CIP: cumulative incidence proportion
・IP: incidence proportion
・AR: absolute risk
非曝露群における発生した人の割合 ÷ 0.05
曝露リスク関連 曝露群内寄与リスク ・寄与リスク
・過剰リスク
・リスク差
・AR(寄与リスク): attributable risk
・ER(過剰リスク): excess risk
・RD(リスク差): risk difference
曝露群において、曝露因子がリスクを増やす程度 曝露群内リスク-非曝露群内リスク 0.45
相対リスク ・相対リスク
・リスク比
・RR: relative risk
・RR: risk ratio
曝露因子が曝露群内リスクをバックグラウンドリスクの何倍にするか 曝露群内リスク÷非曝露群内リスク 10.0
相対効果 相対効果 RE: relative effect ・曝露因子がバックグラウンドリスクの何倍分リスクを増やすか
・バックグラウンドを 1 とした比がリスク比なので、そこから 1 引けば良い
相対リスク- 1 9.0
・曝露群内寄与リスクを、非曝露群内リスクで割る
・非曝露群内リスクは、バックグラウンドリスクである
曝露群内寄与リスク×非曝露群内リスク 9.0
相対効果% 相対効果% PRE: percent relative effect ・相対効果を%で表現
・比である
相対効果×100 900.0%
曝露群内寄与リスク% 寄与リスク% ARP: attributable risk percent
・AF: attributable fraction
寄与リスクが曝露群内リスクの何%であるか 曝露群内寄与リスク÷曝露群内リスク 90.0%
相対リスクの逆数は、曝露群内リスクに占めるバックグラウンドリスクの割合(曝露がリスク増の場合)なので、それを1 から引く 1-(1÷相対リスク) 90.0%
人口リスク関連 発生内曝露割合 発生した全員の内、曝露された人の割合 ÷ 0.999
全人口内リスク 対象全体に占める、発生した人の割合 ÷ 0.495
(曝露群内リスク×曝露割合)+(非曝露群内リスク×非曝露割合) 0.495
全人口内寄与リスク ・人口寄与リスク
・集団寄与リスク
・PAR: population attributable risk
・Pop AR: population attributable risk
全人口に占める、曝露起因発生者の割合 曝露割合×曝露群内リスク× 0.445
全人口内リスク-非曝露群内リスク 0.445
(曝露数×曝露割合)÷全人口 0.445
全人口内寄与リスク% ・人口寄与リスク%
・集団寄与リスク%
・PARP: population attributable risk percent
・Pop ARP: population attributable risk percent
・PAF: population attributable fraction
・人口内寄与リスクが、全人口内のリスクに占める割合
・発生の何%が曝露起因であるか
全人口内寄与リスク÷全人口内リスク 89.9%
発生内曝露割合×曝露群内寄与リスク% 89.9%

f:id:ublftbo:20170204235810p:plain

参考文献

本連載を書くにあたって参照した文献を載せます

楽しく学べる! 看護学生のための疫学・保健統計

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↑※参照は初版

実例で学ぶ薬剤疫学の第一歩

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標準保健師講座〈別巻2〉疫学・保健統計 (Standard textbook)

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はじめて学ぶやさしい疫学 改訂第2版

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入門 医療統計学―Evidenceを見出すために

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↑※参照は第 3 版

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↑※参照は初版

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ロスマンの疫学―科学的思考への誘い

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基本からわかる 看護疫学入門 第2版

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↑※参照は初版 この本は、特に説明が具体的で詳細。お勧めです。