食鳥肉生食による食中毒リスクに関する情報募集

ご存知のかたがあれば、教えてください。

  • 食鳥肉生食を分母にしたカンピロバクター食中毒リスクの推計→鶏の生肉を食べた場合にカンピロバクターにあたってしまう割合
  • 食鳥肉生食に起因するカンピロバクター食中毒者における、ギラン・バレー症候群の発生リスクの推計→鶏の生肉でカンピロバクターにあたった場合の、ギラン・バレー症候群になってしまう割合
  • 食鳥肉生食に起因するカンピロバクター食中毒者における死亡例あるいは死亡リスクの推計→鶏の生肉を食べたせいで死んでしまった人の例、あるいは死んでしまった人の割合
  • 南九州における独自の生食用食鳥肉処理手順について、その効果(カンピロバクター食中毒リスクの低減)を定量的に示したもの→出来れば、時系列的な関連を検討する(基準を立てた・周知した・改定した。同時に食中毒の件数は減った ※したは、そのままではした事でを意味しない)以外のアプローチ

直接的では無いがいくらか関連しそうなもの、を1つ。

【PDF】食品に起因する疾病の負荷推計に関する研究

DALYで害を評価するのは、検診などの評価をQALYでおこなおうというのと同様の方向でしょう。

ファクトチェック

ファクトチェックにまつわる話。

ファクトチェックは、

実際と異なった情報が流布される事による害

を懸念しておこなわれるものです。

ニセ科学を批判する方面では以前から、優先順位問題なる言いかたがされてきました。これは、誰かが何かをニセ科学と批判する際に、他のもののほうが重要だからそれをまず批判せよといった意見が出てくる事があり、それに対して、どれを批判するかはそれぞれの問題意識に基づいて自由になされるべきであって、まずどれを批判すべき、などといった優先順位を決めるようなものでは無い、のような議論がおこなわれた事を指します。

最近、日本ファクトチェックセンター(Japan Fact-check Center)が設立され、報道機関の出した言説を当該組織が採り上げない事が批判されました。

factcheckcenter.jp

(4)正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者が発信した言説ではないこと

JFCファクトチェックガイドライン(20220927).docx - Google ドキュメント

↑これは、対象言説の設定に係る条項の一部です。ここ自体が恐ろしく曖昧ですが(目指すとか運営委員会が認めるとか)、それはひとまず措いて、この部分が強く批判されています。要するに、マスメディアもひどいガセを流す事があるというのにそれを除外して何がファクトチェックか、といった具合です。

当該組織は、特定の専門分野を研究する団体(学会など)や、何かを愛好する個人や小規模の組織というのでは無く、それなりの資金が投入され、マスメディアに関わった者が構成員に名を連ね、採り上げる言説の性質は特に限定しない、というものですので、まずこれを批判しろよ、とか、それを除外するのはおかしいだろう、のような批難が加えられるのでしょう。まさに優先順位問題が、優先順位をきちんと決めるべきという内容でもって議論されている訳です。

話がそういう流れになると、あの言説を真っ先に批判すべきとか、この組織が流布するものを何故採り上げないのか、という指摘が出てきます(既に出ています)。問われてもしかたが無い所だろうと思います。結構な金をかけて、色々の言説をファクトチェックする、と宣言しているのだから、何をチェックするのかが厳しく問われるのは当然とも言えます。

しかし、です。じゃあどう優先順位をつけるかは、途轍も無く難しい事です。たとえば、先に引用したガイドラインには、

当該言説の流布が、個人、組織、集団又は広く社会一般に対して影響を及ぼす可能性があること

↑こうあります。個人、組織、集団又は広く社会一般に対して影響を及ぼす可能性というのをどう評価しますか? それは定量的におこなえるものですか。おこなえないとすればどのような根拠でもってそうであると主張しますか。

言説が流布されるのですから、それを検討するには

  • 言説そのものの有害さ
  • 言説が流布される規模
  • 流布された言説を信じる度合い

といった観点が必要と考えられます。これは、リスク評価において、危害の程度とそれの起きる確率を算出し、そのかけ合わせとしてのリスクを評価する、といったプロセスになぞらえる事が出来るでしょう。たとえば、ワクチン接種に関わるガセネタの場合、それを信じた結果の危害としては、最悪で人が死んでしまうので、それを重く見る、のように考える訳です。 日本ファクトチェックセンターのガイドラインに批判的な論者は、こういった観点を重視しているのだと思われます。HPVワクチンに関わる言説なども想定しているでしょう。報道機関であれば、情報が流布する速さも大きいと考えられます。

とは言え、日本ファクトチェックセンターもそれへの批判者も、全く定性的で直感的な主張に留まっています。日本ファクトチェックセンターは、自身が掲げるガイドラインが曖昧ですし、批判者は批判者で、こっちのほうが悪質だろう、とただ言っているに過ぎません。定量的な評価も何もありません(定性的な評価で良い事を正当化するロジックもありません)。これではずっと噛み合わないし、建設的な議論にはなり得ないでしょう。優先順位の話をするのであれば、どうやって優先順位を決めるのかを真面目に考えるべきです。

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ここからは、先日にはてなブックマークでも書いた事ですが、改めて考えてみます。

日本ファクトチェックセンターのガイドラインから、19条を引用します。

第19条
1.当センターは、広く一般からの要請及び日常的な調査により収集された言説のうち、以下の条件を満たすものの中から対象言説を設定する。
(1)不特定多数に公開された言説であること
(2)事実に基づき客観的に証明又は反証が可能な内容であること
(3)当該言説の流布が、個人、組織、集団又は広く社会一般に対して影響を及ぼす可能性があること
(4)正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者が発信した言説ではないこと
2.前項の規定にかかわらず、運営委員会は、特に必要と認める場合には、対象言説を指定することができる。

↑1は、直前の18条にあるように、主にSNS掲示板等に書き込まれるものを想定していると見られます。

第18条
 当センターは、SNS掲示板等インターネット上において意見の発信や情報交換が行われる公開の場を中心に、それぞれの場において流通する情報や利用者の意見等の他、誤りの可能性がある言説として当センター以外の者により提示されている言説についても調査し、ファクトチェックの対象とすることが設置規程に定める目的の達成に資するものと認められる言説を収集する。

その上で、正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める者が発信した言説ではないことと、報道機関の発信するものを除外しています。ここがまず合理的ではありません。現在は、各報道機関も積極的にSNSを活用しており、Twitterなどで各記事を紹介し、リンクを張って誘導しています。つまり、SNS発信で情報が広く流布されるという意味で、全く同じような形態を取っていると言えます。インターネット、SNS、報道機関、といったものは、それぞれ隔絶した存在ではありません。それなのに、報道機関として運営委員会が認める者が発信した言説ではないとして除外するのは実態に合わないと考えられます。また、先述のように、

正確で公正な言説により報道の使命を果たすことを目指す報道機関として運営委員会が認める

↑ここが極めて曖昧です。目指す事は確保されるのを保証しません。認めるとは何をもって判断するのでしょう。対象の報道機関がそう宣言していれば良いのでしょうか。しかも、当該組織は広く一般からのファクトチェックの要請を受け付ける訳です。当たり前ですよね、組織で調査をおこなうと言っても、リソース的に対象を網羅的に検討出来るはず無いのだから、怪しげなのはあるか、と募るしかありません。であれば尚更、報道機関を除外する意味が解りません。要請を受ける時点で、ある種のスクリーニングを受けたものが集まるのだから、あらかじめ報道機関を除外するとしたら、却って重大なものを見逃す可能性もあるのですから。少なくとも当該機関は、なぜそのような条項を設けたのかという事について合理的に説明出来なければならないでしょう。

もちろん、報道機関の発信するもののほうがガセの割合が小さいなんてのは根拠足り得ません。いま書いたように、意見を募るという意味でスクリーニングを受けたものを検討するのですし(その段階で相対頻度の問題では無い)、敢えて割合云々を言うのなら、SNSにおけるガセ言説の割合などどうやって測るのか、となります(分子も分母もどうやって決めますか)。