適中度の分母表現について

検査性能について説明する場合、適中度の説明が、結構むつかしいのは、試みた事がある人なら解ると思います。

陽性適中度を求める式は、

正陽性数 / (正陽性数 + 誤陽性数)

ですが、勉強しはじめだと、ここの分母が特に解りにくい。

で、考えたのですが、ちょっとここに段階を入れると言うか、分母の表現として、

総陽性

なるものを導入する、のはどうでしょうか。これでまず、分母が、集団内で陽性となった全てのケースである事を意識させます。その上で、では陽性総数を 2 * 2 分割表において漏れなく拾うにはどう求めるだろうか……と導くと。

こうすれば、陽性適中度は、

正陽性数 / 総陽性数

陰性適中度は、

正陰性数 / 総陰性数

のように、すっきり表せます。ちょっとした違いではありますが、このようにすれば理解しやすくなる、と感ずる人も、あるのではないかと考えます。

もちろん、割合(相対頻度)の話は、その後に持っていきます。

感度特異度シミュレータの改良

以前作った、感度や特異度などの、診断の指標をグラフィカルにシミュレートするページを、少し改良しました。

screening.iaigiri.com

前は、操作パネル上にスライダを置いていましたが、今回は、左側のパネルに直接付けました。方向も揃えてあるので、直感的に把握しやすくなったのではないかと思います。

細かい所では、用語を修正しました。偽陽性→誤陽性 などです。

診断指標を考える際に重要なのは、分母を意識する所です。今検討しようとしている指標の分母は何か。指標が割合の場合には(基本の指標である、感度・特異度・適中度 はいずれも割合)、分子が分母に含まれる必要があります。その辺りも把握しておくと、より理解が早まるでしょう。

大まかに各指標の情報が与えられた時に、他の指標の程度を数値と図で確認する、という事に役立てて頂ければ、幸いです。