「早期発見」の意味

早期発見の語は多義的です。すなわち、

  • 病気の進行が初期の内に発見される
  • 病気の症状が無い内に発見される

これらの意味を持たされる。

それで、検診(スクリーニング)の文脈で用いられる早期発見とは、後者の、

症状が出ない内に検査によって病気を発見する事

です。だから、病気の進行状態は問いません。そうすると、

進行した病気が早期発見される

のような表現を、矛盾の無いものとして用いる事が出来ます。

検診の目的早期発見である、といった意見を見かける事があります。そこでは、先に説明した前者の意味、

進行が初期の状態で発見

このような意味を早期発見に付与している、と考えられます。そして、一般に病気が初期で見つかるのが良いという前提があれば、ここから、検診の目的は早期発見である、といった表現が導かれるのでしょう。その場合、

早期発見は検診の目的では無い

このような言い方を見聞きすると、何を言っているのだ、と感ぜられるでしょう。

ところが、検診を単に、症状の無い内に見つける事と捉えると、

早期発見は検診の目的では無い

このような表現も受け容れられます。ここで言う早期発見は、単に、症状の無い内に見つける、の意味しか無いので、

早期発見は、検診の備えるべき最低限の性能である

と、矛盾無く読解出来るからです。こうすれば、

検診は早期発見(だけ)が目的では無い

なる表現も、理解出来るはずです。つまり、検診の目的とは、

早期発見が出来、かつ、それによって救命の効果をもたらす事

であると言えます。

このような事情を踏まえると、敢えて検診による発見早期発見の語をあてる、のを避け、

  • 検診発見
  • 無症状発見

などの語を適用し、誤解されないよう工夫する、といったやり方も考えられます。