0.022%で当たるガチャを90万円分引く

先日、結城浩さんがtwitter上で、次のような問題を出しておられました。

これは、最近しばしば話題に上がる、ゲームにおけるいわゆるガチャの問題を題材にして数学の問題を出した、という事だと思います。

この問題を直感的に把握するために、以前上げたエントリー くじを100回引いたらどのくらい「当たる」か - Interdisciplinaryで作ったプログラムを応用してみましょう。

その前に流れをおさらいすると、

  • 確率0.022%で当たるくじを引く
  • くじを引く事を90万円分繰り返す
  • 90万円分繰り返すのを1セットと考える

上記のようなものです。この種の問題で難しいのは、二種類の確率が出てくるという所です。つまり、

  • 1回のくじ引きで当たりの出る確率
  • 複数回くじを引くのを1セットとしてそれを繰り返す場合の確率

この二種類。ここの区別が出来るかが、理解の第一歩です。

では、実際にやってみましょう。


内容は、前と ほぼ同じです。違うのは、左上の四角形。前のものは、100回のくじ引きでしたので、それをテーブルで表現して、各マス目に◯と×を入れましたが、今回は、くじを引く回数が多いので、ごく小さい正方形に色を塗って当たり(濃い緑)外れ(薄い灰)を表しています。その集まり全体で、90万円分のくじ引き1セットを示します。そして、1回でも当たりが出ればそのセットを成功と看做すと考えます。つまり、小さな緑色の四角形が一箇所でもあれば、成功とする訳ですね。結城さんの問題で言えば、1回でもアイテムが手に入ったら成功とする、という事です。

対して、右側の円グラフは、チャレンジ総数に占める、成功したセット数の割合です。結城さんが問うている確率は、こちらの割合に相当します。

では、実際にやってみてください。何回か繰り返すと、成功セットの割合は、だいたい48%程度になるでしょう。

ところで、この問題に対する反応を見てみると、1回のくじ引きで当たる確率の 0.022% を、パーセントを抜いて 0.022 と勘違いした。つまり 2.2% と思った、という人が散見されました。実は私もそうです。

ここは結構教訓的だと思います。と言うのは、百分率とは、文字通り、全体を100とした時に、占める割合はいくらになるか、を表す概念なので、0.022% という、あまり見慣れないものを見た際、経験的に馴染みのあるであろう量として認識してしまった、と考えられるからです。これも、人間が、経験的あるいは直感的に物事を把握しようとする、一つの事例なのかも知れません。

そういう意味で言えば、このくじ引きの確率は、22 / 100000 としたり、100000分の22 などとした方が、解りやすかったでしょう(分母にカンマを入れれば、もっと見やすくなる)。パーセントで表すには小さすぎる量なのですね。ですから、全体を1000として割合を表す、パーミル(千分率。記号:‰)という概念なんかもあったりするのです。

このように、今回の結城さんの出題は、色々な意味で興味深いものでした。

この問題に関する結城さんのつぶやきは、以下にまとめられています。

rentwi.textfile.org