疫学指標の図示――生存割合や死亡割合
NATROMさんによる学習記事
反応を見ると、やはり、疫学上の各指標を勘違いしている人がいる様子。
という事で、検診などの文脈でよく用いる指標について、理解の助けとすべく、図示してみます。
2018年10月24日追記:コメントでご指摘頂いたので追記。各図において、同色で濃さが異なるように見えると思いますが、これは、絵文字で男女を区別しているのでそう見える、という事で、濃さで何らかの情報を区別している訳では無い――男女という属性は区別しているが、本記事の説明には関係しないのを、ここに付記しておきます。
危険人口
危険人口は、ある疾病に罹る可能性を持つ集団の事です。たとえば、子宮がんを対象とする場合は女性、前立腺がんを対象とする場合は男性に限定したり、既に対象の疾病に罹っている人は除外したりします。
対象疾病の発見
危険人口の中で、疾病が発見された部分です。これは、疾病に罹っている人と同じではありません。疾病に罹っても症状が出ないようなものでは、罹っても見つからない場合があるからです(がんなど)。
対象疾病による死亡
対象とした疾病によって死亡した部分です。その疾病で死亡したのですから、必ず、対象の疾病が発見された人の一部分となります。
対象疾病が発見されて生存
対象とした疾病が発見されながらも生存した部分です。これも必ず、対象の疾病が見つかった人の一部分となります。
死亡割合
危険人口に占める、対象疾病による死亡者の割合です。分母は人口である事に注意します。
致死割合
対象疾病が発見された人の内、対象疾病で死亡した人の割合です。ここで分母は、対象の疾病が発見された人であるのを押さえておきましょう。
生存割合
対象疾病が発見されながらも生存した人が、対象疾病が発見された人に占める割合を示します。致死割合と同じく、分母は、対象の疾病が発見された人です。
致死割合 + 生存割合
致死割合と生存割合は、分母が同じ(対象疾病が発見された人)です。分子はそれぞれ、
- その疾病が発見されてその疾病で死亡した人
- その疾病が発見されて生存した人
なので、合計はつまり、
その疾病が発見された人
に一致します。ですから、
致死割合 + 生存割合 = 1
となります。これは、致死割合と生存割合は、1を基準とした補数の関係にあるのを示しています。