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分母が大事

乗法定理やベイズの定理周りが解りにくい理由は。

確率を構成する式のそれぞれの確率の分母(すなわち標本空間)が異なるから

これですね。ここで出てくる式では、基本の確率と同時確率と条件つき確率が入り混じって作られていて、それぞれの確率のもと(分母)となる標本点の数が違っている訳です。

そこの所が認識出来ると、途端に理解が進むと思います。

その意味で、条件つき確率の説明で、標本空間が変わると説明してくれるテキストは、気が利いている、と言えます。たとえば次のようです。

P(E) > 0 なる事象 E を一つ固定して考える.E という事象が起きたという条件の下での事象 F の条件付確率

{ \displaystyle
P(F|E)
}

のように表して,E を新たな標本空間と考えたときの E∩F という事象の確率として定義する.すなわち、

{ \displaystyle
P(F|E)=\frac{P(E∩F)}{P(E)}
}

この関係を書き直して

{ \displaystyle
P(E∩F)=P(E)P(F|E)
}

という乗法法則が得られる.

統計解析法の原理 (1977年) (現代人の統計〈1〉) のP40より引用。

この引用文の、E を新たな標本空間と考えたときのという所が重要です。事象 E の生起なる情報を得た事によって、標本空間は E に変わると。対して P(E) などは、標本空間(分母)が、事象 E を覆う更に広い全体です。特に2番目の式なんかは、これらに加えて、分数が入っているので、更にややこしくなっていますね。それぞれの確率の分子と分母を構成する確率の分子と分母を考えるのが重要です。明示されていない分数の入れ子という訳です。これを、強引に日本語を入れた式で表してみるならば、

{ \displaystyle
P(F|E)=\frac{(\frac{E∩Fの点の数}{全体の点の数})}{(\frac{Eの点の数}{全体の点の数})}
}

このようになります。右辺は、全体の点の数が消されて、結局、E∩F の点の数 / E の点の数 です。ここで、確率は割合である、つまり、分子は分母に含まれていなければならないのですから、分子は当然、かつ Eの必要があります。分子に、¬E∧F である点が入ってはいけない訳です。