母数と分母
それを混同してはいけないのは、
現代の専門用語の定義を踏まえれば、同じ語が全く異なる意味を指してしまうから
です。だから、百何十年前には母数が分母の意味を表していた、みたいな話とはまた違う訳ですね。その話は数年前に知って、自分の調査不足を痛感しましたけれども、それはそれとして。違う観点です。
もちろん、これから先、母数で分母を指すようにし、現在は母数と表現されている概念を別の語で指すように変更する、となれば整合的になります。しかし当然、その実行には、社会的に相当、大掛かりな事をやらないといけません。教科書を全部書き換えるなどです。教科書を書き換えちゃいけないという話ではありませんが、それをするに見合うのかは考える必要があります。私は、疫学の教科書において、比・割合・率 は厳密に区別するよう書き換えるべきだと思っていたりしますが。
ちなみに、私は自分で書く時は、いまは母数は使いません。標本分布の話でも使えるようにパラメーターを使っておいて、母集団に限定する場合は、母集団パラメーターと表現します。英語だとpopulation parameterですね。
ついでに。
母数を分母の意味で使うのは誤用という話をしていますが、twitter等で使われかたを見ると、人によっては、ほんの少し意味合いを変えているようでもあります。分母に母数を入れるみたいな感じ。
たぶん、分数の下に分母をあて、調べた数に母数をあてています。後者は、調査数やサンプルサイズに近い使いかたですね。興味深いものです。