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メモ:余剰発見(過剰診断)について

ウェルチとブラックの論文(http://jnci.oxfordjournals.org/content/102/9/605.abstract)を参照してメモ
それぞれの がんにおける余剰発見の各論は省略

  • 余剰発見とは、症状や死亡を引き起こさない病気を発見する事を指す用語である
  • 余剰発見は、がんが進行しないか、がんが症状を発現させる前に、他の原因で死ぬ場合に起きる
  • 症状発現前に他原因で死亡する場合は、3つの要因が関わる
    • 発見時の、がんのサイズ
    • がんの成長の速さ
    • 患者の死亡リスク
  • 進行の速いがんでも、期待余命が短い人であれば、余剰発見になり得る
  • 余剰発見と誤陽性を混同してはならない。誤陽性は、陽性だが病気を持っていない事だが、余剰発見では患者は、病理学的な がんの定義を満たすもの有している
  • がんには、進行の速さが異なるものがある
速い
すぐに症状や死亡に繋がる
遅い
症状発現や死亡までに多年を要する
非常に遅い
症状が起こる前に死亡する。高齢者における小サイズ低悪性度前立腺がんなど
進行しない
病理学的な がんの定義を満たす細胞異常を示すが、成長しなかったり退縮するため、症状が起こらない
  • 非常に成長の遅い がん、もしくは、進行しない がん、を、「pseudodisease」と表現する事がある。ウェルチ等の訳書では、「偽病」。論文ではその語は用いられない。私は、「偽病」は用いるべきでは無いと思う。何故なら、ますます誤陽性と紛らわしいから
  • 臨床医は、診断(発覚)時点では、それが余剰発見かを知る事は出来ない
  • 患者が、医学的介入(治療)をされず、他の原因で死亡した場合には、余剰発見と言う事が出来る
  • 臨床医は、診断(発覚)時点では余剰発見かを知る事が出来ないため、見つかったもの全部に介入する傾向がある
  • 余剰発見は、医療費増大に寄与する
  • 余剰発見生起の前提条件は、疾病リザーバ(「Disease Reservoir」の適切な訳語が判らないので)の存在である
  • 無症状がんが多く存在する:発見可能ながんのリザーバがある
  • 疾病リザーバの大きさは、剖検のデータから推測される
  • リザーバは、前立腺がんや甲状腺がん、乳がんなどについて研究されている
  • 疾病リザーバがあるだけでは余剰発見には繋がらない
  • 疾病リザーバがあり、早期のがんを発見しようという活動があれば、余剰発見が起こる
  • 余剰発見の起こる顕著なものは、がん検診(スクリーニング)である
  • がん検診は、PSA検査やマンモグラフィーや触診など
  • 検診以外の理由で、がんの早期発見がおこなわれる場合がある。他の病気の手術に伴う組織の検査や、詳細な画像診断による偶発的な発見など
  • 余剰発見の最も強力な証拠は、長期フォローアップをおこなった、検診に対するRCT研究からもたらされた
  • 検診群は、対照群より多くの がんを発見する事が期待される
  • もし、検診群で発見された例 - 対照群で発見された例 分(検診群の超過分)の全てが臨床症状を引き起こすようなものだった場合(つまり、余剰発見分が無い)、時間が経てば、超過分は消えると予想される(対照群でも遅れて徴候や症状が発現し、がんが発覚するから)。超過分の減少:「キャッチアップ」
  • 全てキャッチアップするために必要なフォローアップ期間は、対照群において、最も成長が遅い症例のリードタイム(症状が出るまでの期間)に等しい
  • それより期間が短くても、他病死によって、余剰発見を評価出来る。検診群における持続的な超過は、余剰発見の証拠となる
  • 観察研究によっても、余剰発見の証拠を提供する事が可能。日本における肺がんの らせんCT検診、神経芽細胞腫の検診、など(神経芽細胞腫では、退縮が起こる)
  • 余剰発見は、個人について評価する事は困難(前述)。集団において起こった時には、比較的容易
  • 発覚数と死亡割合がともに増加し続ければ、臨床的に重要なものを発見している事を示唆する。例:食道腺がん
  • 死亡割合が安定しながら発覚数が上昇し続ける時、余剰発見を示唆する。成長の非常に遅いか、成長しないものの発見
  • 上のパターンの別の説明として、生命を脅かすものを発見し続けているが、同じく、診断と治療の技術が発展しているためにそうなっている、というものがあるが、こちらは、危険なものの増加の程度と、診断および治療の方法の発展、とが、うまく釣り合っている、という仮定が必要となり、合理的で無い

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