論理とか実証とか効果とか方法とか

この*1方面における総合的な視座を得るために、次の二冊を読む事を推奨します。

クリティカルシンキング 不思議現象篇

クリティカルシンキング 不思議現象篇

↑界隈でそれほど名前の出てくる本では無いような印象ですが、私は真っ先にこれを挙げたい。と言うか挙げる。身近のトピックをかなり幅広く具体的に扱っているから取り付きやすいし、いわゆるクリティカルシンキングの入門としても良いでしょう。また、側注に科学者の名言集的なものもあります。
かと言って簡単な本でも無いでしょうが(この種の本で簡単を求めてもしょうが無い気もしますが)難しいけれど面白い。読み応えがあってなかなか先に進まないが止まらない、というのが良い本だと思っています。
前のブログで本書を紹介したエントリー⇒SEARCH: Interdisciplinary
続いて↓
代替医療のトリック

代替医療のトリック

EBMとは、エビデンスとは、RCTとは、二重盲検法とは、実証とは、などについての解説としては、最も丁寧な部類のものではないかと思います。順序良く物事を理解させていく、という構成の巧妙さが段違いです。科学(あるいは医学)における実証というものが、単純な論理的(あるいは理論的)検討に留まらず、地道に(経験的に得られた)証拠を吟味していく作業をも含んだ営みなのだ、という事がよく解ります。ここで一つ、本書から示唆的な言葉を引用しましょう(P168・169 強調は引用者)。

 要するに、医療の主流派は、ホメオパシーについてもその他どんな治療法についても、逸話は(人間の患者に関するものであれ、動物の患者に関するものであれ)、治療法を支持する根拠としては不十分だとして認めない。逸話をどれほどたくさん集めても、しっかりした科学的根拠にはならない。科学者がよく言うように、「逸話の複数形はデータではない」のだ。

*1:どの? と思う人以外を想定したエントリー