多層の全事象

コイン投げ

種類の違う2枚のコインを投げる実験を考える。それぞれのコインについて、出現し得る帰結は、表と裏の2種であり、他は無いとする。

いかに全事象が規定されるかは、その実験のどの部分に着目するかによって変化する。

2枚のコインの表裏に着目する

単純帰結は、

  • 表表
  • 表裏
  • 裏表
  • 裏裏

の4種類。全事象は、これらを要素とする集合、すなわち、


Ω_1=\{表表, 表裏, 裏表, 裏裏\}
表が出た枚数に着目する

枚数に着目なので、単純帰結は、

  • 0[枚]
  • 1[枚]
  • 2[枚]

の3種類。したがって全事象は、


Ω_2=\{0,1,2\}
コインで同じ面が出たか否かに着目する

単純帰結は、

  • 一致
  • 不一致

となり、全事象は、


Ω_3=\{一致,不一致\}

基本的な全事象

全事象{Ω_1}は、他の全事象Ω_2Ω_3よりも多くの情報を持つ。Ω_2Ω_3の根元事象(単純帰結のみが属する部分集合)は、Ω_1の複合事象である。その意味で、Ω_1Ω_2Ω_3より基本的な全事象であると言える。これまで見た3種類の単純帰結全部に関心がある場合には、より基本的な全事象であるΩ_1を選択する。

参考文献

初歩からの数学 ハードカバー版

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  • 発売日: 2016/01/28
  • メディア: 大型本

※参考文献では、基本的な標本空間 (fundamental sample space)と表記されているが、標本統計学的の重要概念であるから、ここでは全事象とした。