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伊藤隼也氏の発言の信憑性について

d.hatena.ne.jp

こちらで検討されている、伊藤隼也氏の発言に関して、伊藤氏の発言及び、言及されている病院の発表を整理しておきます。※引用文内の強調は引用者による

まず、発端の、伊藤氏の発言です。

↑ここで伊藤氏は、熊本済生会病院において、いくつかの物資が不足しており、その確保に緊急を要する、という旨の発言をしています。 次に、言及された病院の発表です。

4/27日現在の食料・水の充足について|お知らせ|社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院

インターネット上(facebookTwitter含む)で当院において物資不足との情報があるようですが、 当院におきましては、地震発生直後不足していた食料/水も 地震発生の翌日より全国の済生会の各施設をはじめ、 病院・企業等の協力を順次得て 現在食品飲料等を含め物資は充足している状況です。

↑この発表を読むと、

  • 地震発生直後:不足
  • 当該発表時点(2016年4月27日):充足

という事であったようです。

そして、本記事執筆日(2016年5月1日)の、伊藤氏の発言です。

僕の発信は全て事実です。済生会熊本病院の院長・副島先生にお問い合わせください。先週も、とくダネ!の取材でお会いしてお礼の言葉を述べておられました。

↑この発言によれば、言及された病院の院長である副島氏は、伊藤氏の発端の発言を認識しており、その発言に対し、感謝をしていた、との事。ここでは、少なくとも伊藤氏の発言を好意的に受け取っていた病院関係者(しかもトップ)がいた、と伊藤氏は主張しています。

ここで、次のような可能性を考えます。

  1. 伊藤氏の発言は真実であり、病院の発表は誤りである
  2. 伊藤氏の発言は誤りであり、 病院の発表は真実であった
  3. 伊藤氏の発言は真実であり、病院の発表も真実であった

一見すると、伊藤氏の発言と病院の発表とは、矛盾しているように見えます。しかし、病院の発表をよく読んでみると、地震発生直後不足していた食料/水もとあります。すなわち、少なくとも地震の発生直後には、いくつかの物資が不足していた、というのは事実であったと考えられます。そうすると、上の 3. の、伊藤氏の発言も病院の発表も矛盾無く成り立つ可能性は、全く排除出来る(どちらか真実ならもう一方は虚偽)とは、現段階での双方の主張のみからは言えない、と私は考えます。つまり、

当該病院においては、地震発生直後に物資が不足していたのは事実であり、その時点で病院関係者が伊藤氏に不足を訴え、伊藤氏がその情報をtwitter上で広めた。そしてその後、病院の物資は充足するに至った。

という可能性です。ちなみに、上で、その結果と書かずにその後と書いたのは、仮に伊藤氏の発信が事実に基づいたものであったとしても、それが物資補給の契機となったと即言える訳では無いから、です。

ところで、NATROMさんは、日経メディカルに掲載された、済生会熊本病院循環器内科部長の坂本知浩氏の談話を引用しています。

徹夜でトリアージ、2日ぶりの帰宅でくつろいでいたときに本震が…(3ページ目):日経メディカル

ここで坂本氏は、

幸いなことに地震発生直後も現時点でも、院内の食糧や医療用品は枯渇していない。なぜなら、当院は災害拠点病院のため、孤立しても1週間は医療を続けられるように、日頃から食糧や医療品を備蓄しているためだ。途中、外傷患者に最初に使用する細胞外補充液の「1号輸液」が枯渇しかけたときがあったが、物流が回復したことや同じ済生会グループからの支援などもあり、月曜の夕方には全て揃った印象で、問題なく医療を提供できた。

という談話を残しています。NATROMさんは、この発言と伊藤氏の発言とに食い違いがある、と評価しています。しかし坂本氏の発言をよく読めば、枯渇していないとなっています。不足では無く枯渇です。記事が坂本氏の言葉遣いをそのままに掲載した、という前提ですが、不足と枯渇は、似てはいても、ニュアンスのある言葉です。つまり、枯渇しているなら不足しているが、不足しているからと言って枯渇しているとは限らないという事です。可能性としては、伊藤氏の言う不足が、備蓄量の不足を表していた、というのも考えられます。あるいは、伊藤氏が病院関係者と連絡を取っていたのは事実であるが、

  • その病院関係者による(当時の)現状認識が誤っていた
  • 病院関係者による不足という情報が、伊藤氏によって大袈裟に伝えられた
  • 地震直後は不確定要素があるため、当時は緊急的に補充が必要に思われた、あるいは、安全側に倒した認識が形成されていたが、実際にはそれほどでも無かった

といったような可能性も考えられるでしょう。

伊藤氏は、病院長である副島氏の名前を出しているので、副島氏によって何らかの声明が発せられるかも知れませんが、*1少なくとも現時点においては、私は、発端の伊藤氏の発言が虚偽であった、と確定的に言えるほどの証拠は揃っていない、と考えます。

*1:ところで、伊藤氏は、副島氏に問い合わせて、と言っていますが、そんな呼びかけをして、問い合わせが殺到するのは好ましく無いでしょう。