「科学的に正しい」

川端さんのtwitterを見ていてふと思った事。

主に説得や啓蒙普及の文脈において、「科学的に正しい」という言葉が使われる場合がしばしばありますが、これって考えようによってはものすごく無頓着で。
要するに、「科学的に正しい」という言い方は、「そもそも科学にある程度の信頼を置いている」人にこそ通用する表現なのであって、「科学に馴染みが無い」「これから科学の考え方や知識に本格的に触れる」ような人々に対して使ったってしょうが無い、という事もあると思う訳です。単に馴染みが無いならまだしも、中には積極的に科学忌避を(直感的に)する人もいるでしょう。そういう人は、むしろ反発しているのだから、「科学的に正しいというのがなんぼのもんじゃい」みたいに感ずるでしょう。
たとえば、ビートたけし氏が司会をしていた、超常現象について支持陣営と否定陣営(何故か懐疑陣営はあまり見られない)とが議論を戦わせる番組を思い出して下さい。私は以前、そのような番組において、「科学的には―」という言い方を出演者がしたら、「何が科学だ」と思って嫌悪したものです。それはそうでしょう。科学的にどうこうというのは、科学という知識&営みに馴染みがあるからこそよく解る話なのですから。

だから、何が重要かと言うと、「何故”科学的に正しい”という事が、強く主張されるほど重要なのか」をいかに理解してもらうか、でしょう。
もしこの話の流れで、「そんな事は学校で習ったはずではないか」みたいな物言いをする人がいれば、私はそういう人には与しません。解らない人は現に沢山いるのだから。習ったはずなのに出来ない、という心当たりがある人もいるでしょう? そういう所を考えていかないと、科学コミュニケーションは上手く行きそうに無いと思います。頭ごなしは最悪。

※コメント欄も見てね

ついたブクマに反応します。

fantoms 毎回ゼロから出発するの? 2012/02/06

id:fantoms さん 「ゼロから」というのがどういうものなのか判然としませんが、対話的な場であれば、相手の認識の具合を個別に見て言い回しを考えるなり、フォローを行うなりするという事でしょう。それがコミュニケーションというものではありませんか?
比較的に多数に向けられたものの場合にも、改めて説明をつけたり註釈したりというのは重要でしょうね。どういう層に向けるか次第でもありますが。

yingbb 科学嫌いだって、頭ごなしに全否定すんだろ?? 2012/02/06

id:yingbb さん ちょっと意味が解りませんが。そりゃあ、科学を毛嫌いしている人などで、科学と聞いて頭ごなしに否定的な事を言う人もいるでしょう。そういう人に対してもなんとか解ってもらうよう工夫する、という話です。
もちろん、そんな人は相手にしていられない、なども一つの見解ですが、私はそうしたくは無いです。自分が科学を否定的に見ていた事がある、というのは重要なので。

Sinraptor そもそも「科学的に正しい」という言い回しをほとんど聞いたことがない。「科学的にはこうである」なら分かるけど。で、ほとんどのニセ科学は「(観測)事実と異なる」で終わりだったりする。 2012/02/06

id:Sinraptor さん 経験的には、しばしば見かけるかな、というくらいだと認識しています。健康とかクッキング系で、科学的に正しい健康法とか、科学的に正しい○○の作り方、みたいなタイトルも見かけますね。google:"科学的に正しい"