オーダーメイド

丸山ワクチンをおとしめる週刊ポストの記事 - NATROMの日記

 「料理だって塩○グラム、砂糖○グラムという標準的味付けが必ずしもベストではないように、がんの標準治療もそういう”さじ加減”があって然るべきです。しかし、医者は患者の症状に合わせて薬の種類や量を変えるなんてことは滅多になく、レシピ通りの治療しかしてくれません」

この部分についてですが*1

医者は患者の症状に合わせて薬の種類や量を変えるなんてことは滅多になく、

これ、ちょっと考えられないのですが。
多分、歯科医院に行った事が無い人はあまりいないと思いますが、その経験でも思い返してみると、「症状に合わせ」ないで処置や治療をする事なんて無いですよね? 初診時には問診票を書くし、定期健診の時にも、食習慣含めた生活習慣、痛みなどの症状などについてその都度訊かれて、検査や治療の方針が決められます。

私は身近に糖尿病の人間がいますが、毎回の検査時には血液検査が行われて、色々の数値を見て、生活習慣についてアドバイスを受けたり、投薬の仕方が決められたりするようです。

私自身や親族が手術で入院した経験から言うと、手術前には既往歴や今飲んでいる薬の情報、食物や薬物のアレルギーなどが訊かれ、血液検査が行われたり心電図をとられたりしました。また、病院食や投薬についても、栄養士や薬剤師から、かなり細かく質問を受け、方針が決められました。私は特にアレルギーなど無かったので短時間でしたが、隣の人などは、十数分くらい話していました。当然、薬の副作用についてもきちんと説明されます。
病院食に関しては、食物アレルギーもありますし、糖尿病の人は糖尿病食が用意されていました。病院食が収められたワゴン?には、数種類の食事がありました。

これは私ではありませんが。手術後に、抗炎症等のためにステロイド剤が投与される事がありますよね。で、糖尿病を持つ人にはステロイドの投与は注意を要するので、その量などにはかなり気を遣われていたようです。そこら辺をきちんと考えるためにも、手術前の検査などが重要になってくるんですよね。

そういう事を考えると、「医者は患者の症状に合わせて薬の種類や量を変えるなんてことは滅多になく、」という意見は理解出来ません。これは、がんの治療についての意見ですが、他の分野はちゃんとしているが、がんの標準治療においては悪い意味で画一的だ、という事なのでしょうか。ちょっと信じがたい話です。身内にがんに罹った人間もいましたが、そんな話は聞いていません。
あるとすれば、医師とのコミュニケーション不足か、聞いた側の思い込みか、あるいは、ぞんざいな医師にあたったか、などでしょうか。確かに、こんなのが本当に医療従事者なのか、という人は存在します*2。あるいは、もっと綿密にコミュニケーションがとれれば良い、というのはあるのでしょう*3。でも、まるで現代医療が一般的にそうであるかのように捉えられかねない言い方については、医療を受ける立場の者として、とても賛同出来るものではありません。

※タイトルは「オーダーメイド」ですが、これは日常的に使わる意味です。多分、「オーダーメイド(やテーラーメイド)医療」と言うと専門的な意味になるでしょうけど、それとは別の事としてつけました。

*1:NATROMさんのブログより、週刊ポスト記事の孫引き

*2:歯科医院でひどい目にあった事があるし、誤診された事もある

*3:構造的な問題もあるんでしょう。医療従事者を見ていて、気の毒に思うほど、忙しいのだな、と感じて、あまり手を煩わせてはいかんな、と思って遠慮する事もあります。