検診の目的は「治療が必要な病気を見つける事」なのか
なるだけ簡潔に行きます。
流れ
受診者に対する検診のメリットは「治療が必要な癌を発見できること」や「事故の影響をよりはっきりさせること」だろうが、過剰診断のデメリットがそれらより大きいと断言できるのはなぜだろうね。しかもそのデメリットというのは診断後の対処や伝え方で大きく変わってくるというのに。
— yuuki (@yuukim) 2017年6月20日
受診者に対する検診のメリットは「治療が必要な癌を発見できること」や「事故の影響をよりはっきりさせること」だろうが、
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「治療が必要な癌を発見できること」をがん検診のメリットとしてしまうのは、よく見られる誤りです。この誤った主張に則ると、30歳台の乳がん検診や、成人に対する甲状腺がんもメリットがあることになってしまいます。 https://t.co/lvBc6SM65J
— なとろむ (@NATROM) 2017年6月20日
「治療が必要な癌を発見できること」をがん検診のメリットとしてしまうのは、よく見られる誤りです。
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「治療が必要な癌を発見できること」が検診のメリットの1つということ自体を否定していてすごい。後段を読む限り「デメリットの方が大きいケースがある」ということが言いたいのだろうが。 https://t.co/9xYc7QZxgU
— yuuki (@yuukim) 2017年6月21日
「治療が必要な癌を発見できること」が検診のメリットの1つということ自体を否定していてすごい。
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がん検診のメリットは、がんによる有害なアウトカム(通常はがん死)を抑制することです。「治療が必要な癌を発見できること」は必要条件ですが十分条件ではありません。
— なとろむ (@NATROM) 2017年6月20日
がん検診のメリットは、がんによる有害なアウトカム(通常はがん死)を抑制することです。「治療が必要な癌を発見できること」は必要条件ですが十分条件ではありません。
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https://t.co/ETCkyFQGHx
— 林 衛 (@SciCom_hayashi) 2017年6月22日
がん検診の有効性を判断する際に,過剰診断がどれだけあるのかは関係ないというのが,なとろむさんおすすめの教科書の記述なのでしょうか??
おすすめの教科書をお知らせください!
おすすめの教科書をお知らせください!
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https://t.co/VMDBZNfQXd
— 林 衛 (@SciCom_hayashi) 2017年6月22日
がん検診のメリットとは,なとろむさんにとって,ずばり何なのでしょうか?
がん検診のメリットとは,なとろむさんにとって,ずばり何なのでしょうか?
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NATROM氏、ニセ科学批判クラスタの教祖っぶりがすごいな。専門家っぽい用語を散りばめて強弁するスタイル、疑いもなく信じられるようだ。
— yuuki (@yuukim) 2017年6月22日
専門家っぽい用語を散りばめて強弁するスタイル、
検診の目的とは
専門家っぽい用語で云々という意見があるので、専門家そのものの意見を引用する。※検診の理論についての専門分野は、臨床疫学など
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スクリーニングを受けた集団において,その目的とする疾病の死亡率を減じることがスクリーニングの究極の目的である.
↑P33
早期発見,早期治療がその疾病の進展を遅らせる.あるいは進展を止め,治療が遅れるほど,その治療効果が減じると仮定される場合に,スクリーニングの意義がある.
↑P33
症状が出る前の局面で発見可能な疾病であり,早期治療が症状進展後の治療に比較して明らかに効果が認められる疾病が対象となる.つまり,症状が出るまでに発見できない疾病や,早期に治療したからといって,効果が認められない疾病は対象とならない.
↑P33
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この項目が最も重要なことで、がん検診の本来の目的(特に、対策型検診では、当該がんの死亡率減少効果)にかなった効果があるかどうか、科学的に証明されたものを実施すべきである。
↑P4
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二次予防の治療にとって別の重要な基準は,無症状でスクリーニング時に発見した場合には,症状が出現してから患者が医療機関を受診して発見された場合よりも患者の転帰はよくなければならないことである.もしこの2つの場合の転帰が同じなら,スクリーニングは不要である.
↑P183
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二次予防の治療は一般的に,治癒的な医療における治療と同じであり,症状を有する疾患への介入と同じように効果と効能がなければならない。
加えて,早期治療による疾患の転帰は,症状が出現してから患者が医療機関を受診して治療を受けた場合よりも勝っている必要がある。この2つの場合の転帰が同じならば,スクリーニングは不要である。
↑P167 ※前掲書の第2版
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疾患のスクリーニングの前提は,多くの疾患で早期発見は予後の改善につながるというものである.そうでなければスクリーニングをする意味はない.なぜならスクリーニングは金銭的にも,スクリーニングを受ける対象者の負担という面でも,コストが高いからである.スクリーニングに向いているのは,その疾患がなんらかの検査により前臨床段階で発見すべきものであり,早期治療するほうが,遅れて治療する(スクリーニングを実施せずその疾患が発見されてから治療を開始する)よりも有益である場合である.
↑P332
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前臨床期の有病者を拾い上げることがスクリーニングの目的ではない。
冒頭にも述べたように,その目的はその疾病の重症化や死亡を予防することにあるので、図1の(2)のようにいくら前臨床期に疾病を発見しても,死亡する時期がスクリーニングを行わなかった(1)と同じであれば,有効なスクリーニングとはいえない。
↑P214 ※丸囲み数字は丸括弧数字に換えた
おさらい
そもそも検診とは、病気が発見可能になってから、症状が出るまでの間に見つける事である。
検診は多段階で、
- 病気を持っていそうな人の篩い分け
- 精密検査
- 確定診断
というような流れでおこなわれる。この最初の段階を特にスクリーニングと呼ぶ場合もあるし、検診とスクリーニングを同義と扱う場合もある。
治療を要する病気を、症状が出る前に見つける事は、検診の目的では無い。その事はあくまで、検診が備えるべき最低限の性能である。
多段階の検査システムが、病気を見つける性能を有していたとしても、症状が出てからの発見による治療との救命効果に違いが無ければ、症状が出る前に見つける意味は無い。
この事をNATROM氏は、「治療が必要な癌を発見できること」は必要条件ですが十分条件ではありません。
と表現している。
検診に救命効果が無ければ、その検診には、害(ハーム:harm)しか無い事になるので、おこなう意義が無い。であるから、検診をおこなう意義が認められる最低限の条件は、検診による発見が、症状発現後の発見より高い救命効果を持つ事、である。
踏まえると、効果が無い事が判っている、もしくは、効果が確かめられていない、という検診は、そもそもおこなわれるべきでは無い。これは、他の医療介入と同様である。効果が無いと分かっていたり、まだ確かめられてもいない薬を使って良いのか、と考えると良い。
※林氏は、お勧めの教科書云々と発言しているが、ひとまずは、こちらで引用した本あたりを、そう紹介しておく。しかしそれ以前に、林氏は、疫学の教科書をどれでも良いので、1・2冊程度精読すべきだと思う