朝日新聞によるEM批判記事、への反論記事について検討する

■趣旨

先日朝日新聞が報じたEM批判記事、への反論が、以下のサイトに掲載されていた。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い
そこでは、記事を書いた朝日新聞記者の長野剛氏および、取材に答えた科学者の主張が細かく採り上げられ非難されている。首を傾げざるを得ない部分が多々見られた。不当な評価と思われる所は指摘しておくに越した事は無いだろう。そこで、本エントリーにおいて、出口氏(DNDメルマガの著者)の反論の内容を考察・検討する。

■注意事項
  • 引用文中の強調は引用者による。
  • 引用文は、q タグもしくは blockquote タグで囲む。
    追記:q 要素はIEでは表示が替わらないので、CSSで青文字にした。
■タイトル

まずタイトルにある、無断引用という表現である。そもそも「引用」は、著作権者に無断で行う事が出来る。以下に文化庁のサイトに掲載されている説明を引用する。

 「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに引用することができます(第32条)。
著作権なるほど質問箱

つまり引用とは、要件を満たしていれば、著作権者の了解を得る事無く行える。従って、「無断引用」というのはおかしな表現である。
出口氏はこうも書いている。

記者が、情報をネットから引用する時は、必ず出典を明らかにしなければならない。コピペしての丸写しはご法度で、その一部の引用とて無断でやっちゃいけない。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

出典を明らかにするべきというのはその通りだが、引用とはそもそも一部を採り出すものであるし、無断で行なっても良い。
恐らく、出口氏が最も強調したい事は、引用の仕方が適切で無い、というものなのだろう。それは後の部分を読むと推察出来る。その場合には、「無断引用」などと書くべきでは無く、朝日記事が引用の要件を満たしていない、等の指摘を行い、「それは(正当な)引用では無い」、と言うのが妥当であると考えられる。「無断」を「出典無し」と同じ意味で使っているので無ければ(あるいは、どうしても無断引用と表現する必要があるのなら、その論理的・理論的根拠を示さねば賛同は得られないだろう)。

■EM活用事例

出口氏は、

全国の学校では、有用微生物群(EM)を使って校舎やプールの清掃、花壇や庭での花木の栽培に使われており、地域住民の参加も得て家庭雑排水で悪臭の川をきれいにする市民運動が活発に行われているのは事実。その活躍ぶりは、学校現場にとどまらないことはご存知の通りで、2010年3月に宮崎県内で流行した口蹄疫被害では29万頭に及ぶ牛や豚の殺処分現場にボランティアで入り、消毒や悪臭対策に効果を発揮して農水大臣から感謝状を受けた。昨年のタイの洪水による環境浄化などでも威力を発揮し、タイ国政府から多大な賞賛を受けEMが国策として採用されたというのは記憶に新しい。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

このような事例を挙げ、EMの有用さを示すものとしている。また、

福島の原発事故による放射能除染でもEM堆肥を用いた栽培試験で、汚染土壌からコマツナへの放射性セシウムの移行の大幅な抑制が実証されたことがこの5月21日に福島県の発表で裏付けられたばかりでした。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

とも主張している。これは、そのような事例が、EMおよび比嘉氏に対して行われた朝日記事よる「非科学的」との評価、への反論の材料となると出口氏が考えている事を示す。
しかるに、このような事例は、それだけでは、「EMが、それに興味を持つ人によって活用された」というのを示すものにしかならず、科学的に重要な意味を持たない。と言うのは、このように、「何かが効く」かどうかを確かめるためには、ある着目した条件以外の条件をきちんと揃え、比較対照して実験するのが重要であるからだ。ここで着目した条件とは、つまりEMを与えるという事で、肝腎なのは、それ以外の様々な条件を揃えるという事。それをやらなければ、「効いているように見えても何が効いているように見せているかが解らない」のである。
従って、効果の検討を行う際には、まず実験の計画のデザインをしっかり行い、ある条件を与えたものとそうで無いものとを「対照」する必要がある。であるから、どこそこの小学校で試したら綺麗になった、という事例のみを何万件重ねた所で、科学としてはほとんど意味が無い。
また、コマツナの話については、こちらで検討されている⇒EMのセシウム低減効果 - Togetter
仮に、一つの実験がよくデザインされているように見えたとしても、それだけで科学の定説になったとは言えない。他の研究者による追試、批判検討などを受けて初めてそう言える。それがなされているかを示す資料の一つが、評判の良い雑誌などに掲載された、査読を経た学術論文である。もし有用さを主張したいのであれば、最低限、そのようなものくらいは提出する必要がある。
ここで大切なのは、

  • 与えた
  • 効いたように見えた
  • 与えたものが効いた

という考え方は危険だ、という事である。自然現象・社会現象に拘わらず、物事は複雑に条件が絡み合って成立している。それを解きほぐして仕組みを解明する方法を洗練させてきたのが科学である。

■「万能性」

出口氏は言う。

菊池氏は、万能性をうたっていること自体が、非科学的だ、とEMを容赦しない。万能性ってその定義にも触れず、具体的な指摘も記事にはない。だれも万能性なんかうたってないでしょうに。菊池氏が「非科学的だ」といったのが見出しにもなった。故意に強調されているように感じた。ひどい見出しだ。菊池氏が「殺人的だ」と言ったら、「殺人的だ」と見出しになるのだろうか。新聞の怖さを見た思いですね。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

科学者ら、って誰れですか。万能性をうたう、ってどんな風にですか?万能性と決めつけて非科学的という方向に導く、このレトリックのまやかしは、危うさの裏返しでもある。万能性なら、と決めつけて非科学的だという見出しになる。恐ろしい飛躍です。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

まず、菊池氏が EMが「非科学的」である事の根拠として「万能性」を謳っている部分を挙げている事、に着目し、そもそも誰も万能性など謳っていないではないか、と主張している。なるほど、確かに、誰も万能さなど主張していない、というのであれば、それを根拠にした論は崩れる(注意しておくが、仮に万能さが謳われていないとしても、それですぐ「EMが非科学的である」という評価自体が崩壊する訳では無い)。
次に、「科学者らとは誰か」という疑問を投げかけているが、これは、出口氏が何を言いたいのかよく解らない。と言うのは、ここで言う「科学者ら」の文があるのは、

 だが、疑似科学問題に詳しい科学者らは、EM菌の効果や理論を批判する。菊池誠・大阪大教授は「原理は物理的にナンセンスの一言。何でも都合の良い方向に働くとの万能性をうたっていること自体が、非科学的だ」と指摘する。
朝日新聞デジタル:「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業 青森 - 社会

この部分である。つまり、科学者らとは、「疑似科学問題に詳しい科学者ら」を指していて、それは、菊池誠氏や後で出てくる長島雅裕氏の事だというのは明らかに思えるのだが、いかがだろうか。そもそも出口氏自身が、記者は、かれらを疑似科学問題に詳しい科学者らと書いているのである。
さて、出口氏は、菊池氏の批判を採り上げ、誰もEMの万能さなど謳っていないではないか、と言う。確かにそうなのであれば、批判の根拠の一部は崩れる事になる。
では、実際はどうであろうか。いくつかのWEBサイトから、謳われている効果を拾ってみよう(適宜抜粋、要約してリストにする。内容が重複する事もある)。

豊橋市 マサキクリーニング(こんなにスゴイEM菌)
  • 繊維の奥深くの汚れを一層除去し洗浄力をUP
  • 逆汚染を防ぐ
  • 悪玉菌の汚れ(酸化物)を分解
  • 肌荒れ(アトピー性皮膚炎)防止
  • 静電気防止の効果
  • 殺菌力を持つ乳酸菌などが悪玉菌のバクテリアを抑える
  • 一般的なドライクリ―ニングや水洗と比べると抜群な消臭効果
  • 繊維がガードされて繊維の風合いが保たれる
  • 黄ばみが抑制され、カビが生え難く、衣服が長持ち
  • EMは河川の汚れ、ヘドロを分解する水質浄化作用があり、下流をきれいにする
  • EMの効果で魚が増え、水鳥が戻ってきました
EMXゴールド:効能や副作用に関して
  • 作物の順調な生育
  • 収穫の増加
  • 病害虫の予防
  • おいしさの改善
  • 農薬や化学肥料を使わない農業の実現
  • 抗生物質や成長ホルモンを使わない健康な家畜や養殖魚の管理
  • 悪臭対策
  • 産廃棄物の堆肥化
  • 排水の浄化
  • 悪臭改善
  • 生ゴミの堆肥化
  • シックハウス症候群の改善
  • 汚れ落とし
EMーXはガンのスカベンジャー!
  • ガン
  • 糖尿病
  • リウマチ
  • 高血圧
  • 医師である私が清涼飲料水でガンが治ると公言することには、何の問題もありません(※筆者注:重要な発言なので採り上げた)
  • 肺ガンの中でも難しい腺ガン
  • 胃ガン
  • 骨髄ガン

随分と色々な効果が謳われているようだ。ただこれだと、それはEMを支持する者が謳っているだけではないか、と返されるやも知れない。そこで、次を示す。

//www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru39.html">EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [39] 比嘉照夫 名桜大学教授:
  • 免疫力を高める
  • 化学物質や放射線や電磁波を無害化
  • 体内の重金属や化学物質(ダイオキシン等)を体外に排出
  • エイズ
  • ウイルス性肝炎
  • 成人ヒト白血病
  • ウイルスが原因である様々な難病
  • 病気とは無縁の人生を送ることができる
  • 網膜色素変性症
  • 重度な関節リュウマチ
  • パーキンソン病
  • 多発性嚢(のう)胞腎
  • ALS
  • 多発性硬化症
  • 子宮頸癌
  • 認知症
  • 進行性胃癌(ステージⅣ)
  • 膵臓癌(ステージⅣb)
  • 進行性核上性麻痺(PSP)
  • C型肝炎
  • 乳癌
  • 脳腫瘍術後の後遺症
  • EM生活は脳の機能を正常化する力がある

これは、他ならぬ比嘉氏の連載である。どうだろうか。農業のみならず、医学における様々な難しい疾患への効果が謳われている。これだけで「言い過ぎ」だろう。また、EM系商品の販売サイトや、上で紹介したようなものも合わせると、私の語感では充分に「万能」を謳っている。農業・工業・医療、等々に使える、と言っているのであるから。少なくとも、「誰も万能など謳っていない」という事は言えないだろう。それとも、「万能の言葉の定義」で延々頑張るのだろうか。
菊池氏が「殺人的だ」と言ったら、「殺人的だ」と見出しになるのだろうか。の部分は論外だろう。これは、記者(長野氏)が科学者(菊池氏)に従っている事を皮肉っているのだろうけれども、そのような皮肉は、記事の正当さが打ち崩されて初めて成立する。
続いて、長島氏の意見を受けて、誰がEMだけで対処可能と思わせているのでしょうか、長島氏がご自分で推量しているにすぎないのではないか。と言っているが、実際、上で紹介したような喧伝を見れば、「EMで対処し切れないであろう事までなんとかなると思わせている」と評価する事は充分可能だと思うが、いかがだろう。しかも、環境問題のみならず、医療問題にまで踏み込んでいるのである。

■長野・菊池・長島、各氏の関係

出口氏は、

この記事で科学者ら、の一員に名を連ねた長崎大学の長島雅裕准教授は、実は、阪大の菊池教授の教え子だ、と、お二人の親しい関係を指摘する声もある。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

こう指摘する。つまり、長島氏と菊池氏の、教え子と先生という関係を仄めかすのである。そして出口氏は、これが事実だったら、記事の構成になにかしらの、色が付きすぎという批判もまぬがれないであろう。と続ける。要するに、菊池氏と長島氏は、大阪と長崎という事で、全然別の所からの発言のように見えるが、実は繋がっていたのではないか、という指摘である。
この種の指摘には、それを示す強い証拠を提出するのが必要である。しかるに出口氏は、「指摘する声」と書くに留まっている。そして、当の長島氏はこのように言及している(つぶやきから引用)。

僕はきくちさんの教え子だったのかー知らなかったー(院で講義を一つ受けはしましたが)
Twitter / _nagashimam: 僕はきくちさんの教え子だったのかー知らなかったー(院 ...

このつぶやきによれば、長島氏は、菊池氏の講義を受講した事はある、というくらいの繋がりだったようである。これは、非常に大きく言葉の意味を取れば「教え子」と表現出来ない事は無いだろうが、出口氏がその言葉を埋め込んでいる文脈を鑑みるならば、そのような薄い関係しか語意に含ませていないとは考えづらい。
なお、当該アカウントが実際に長島氏のものだろうか、という疑問は懐疑的な考え方としてはあるだろう。私は直接やり取りした経緯から、ご本人であろうと思っている。しかし、その事自体の真偽は、出口氏が憶測でしか語っていない事を覆す材料にはならない。
ちなみに出口氏は、長島氏の意見を受けて、このような事を書いている。

記事の末尾に長崎大学教育学部、長島雅裕准教授の談話がある。長島氏は冒頭に「疑わしい事柄を真実と教えれば、将来、生徒が疑うべきものを疑えなくなる恐れがある」と、もっともらしいが、抽象的で何を差しているのか意味不明だ。誰が疑わしい事柄を真実と教えているのですか? そのタラレバの不確かな論理の上に、「恐れがある」という結論を導き出していく。このレトリックも、意図的ですね。これが科学者の談話だろうか。そして教育学を教えているのだろうか。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

そして、先ほど引用した文を含む一節を挙げよう。

この記事で科学者ら、の一員に名を連ねた長崎大学の長島雅裕准教授は、実は、阪大の菊池教授の教え子だ、と、お二人の親しい関係を指摘する声もある。これが事実だったら、記事の構成になにかしらの、色が付きすぎという批判もまぬがれないであろう。
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

これが、これには訳があるのです。という表現に続いて書かれているのである。

■「手先」

出口氏は、菊池氏と長野氏の関係についても訝っている。まさか菊池氏の"手先"になっていることなぞ、あるわけがないと思うが、などとも仄めかしている。これも憶測である。ホメオパシー事件の際も長野氏が菊池氏へ取材した事を挙げてそのような考えに至ったようであるが、ある分野について詳しいという評価を受けている人がいるのであれば、その人が多く取材を受ける事はおかしな話では無い。それ以上の、何か好ましく無い利害関係によって取材先が選ばれている、という事を言うのであれば、それ相応の証拠が必要だろう。

■比嘉氏の主張の紹介

出口氏は、朝日記事の

 EM菌の効果について、開発者の比嘉照夫・琉球大名誉教授は重力波と想定される波動によるもの」と主張する。
朝日新聞デジタル:「水質浄化」EM菌効果 検証せぬまま授業 青森 - 社会

この部分が不適切であると主張する。タイトルの「無断引用」の文も考え合わせると、恐らくここが主旨なのだと思われる。出口氏の論はこうだ。

  • 重力波と想定される波動によるもの」とはどこからの引用か。
  • それは長島氏の文章からのものだ。
  • その文は、比嘉氏の講演からの引用であった。
  • しかし長野氏は、そこから一部を切り取って比嘉先生の談話として使った
  • 原文の改竄を行った可能性がある。

そしてこのように強く批判する。

Webから無断引用し、原文を改ざんして比嘉先生の談話のようにみせかけるのは、いかがなものか。これはでっち上げというのか、歪曲というのか、いずれにしても大きな問題をはらんでいることは確かだ
[DNDメルマガ]vol.468 朝日新聞が比嘉照夫氏の談話をWebから無断引用の疑い

ここで論点は、大きく3つ挙げられるだろう。すなわち、

  • Webから無断引用した
  • 原文を改竄した
  • 比嘉氏の談話のように見せかけた

こうである。ここで一番上は除外する。引用というものは無断で行うものだというのは最初に説明したからだ。もし反論があるのならば、「引用は無断で行なってはならない」と一般的に言える事を支持する根拠を示すべきである。
次に、長野記者が原文を改竄したのではないか、という指摘だが、これについてはまず、そもそもその部分は引用であるのかと考える事が出来るだろう。つまり、重力波と想定される波動によるもの」という朝日記事にある文が、そもそも引用文であるか、という事である。
一般に、学説や、誰かの主張などを紹介する文を書く時に、主張を要約して鉤括弧で括る場合がある。鉤括弧に括られた文は必ずしも引用文では無く、強調表示や、他の部分との区別がしやすいようにつけられる事がある。
それを考えると、2番目の、長野氏が原文を改竄したのではないか、という非難は、この段階では憶測以上のものにはならない。そもそも引用文では無いかも知れないからだ。
ただ、これは3番目と関わってくるが、その文が「比嘉氏の談話に見えた」*1という可能性はある。朝日の記事を見てみると、EM菌の効果について、開発者の比嘉照夫・琉球大名誉教授は「重力波と想定される波動によるもの」と主張する。と書かれている。これは確かに、比嘉氏が取材にそう答えた、と見える可能性がある。実際にこれが、

  • 主張の要約
  • 文の引用
  • 比嘉氏の発言

のどれなのかが判然としない、というのは確かである。私は最初に記事を読んだ時、これは主張の要約であろうと読んだが、これを比嘉氏の発言と読んだ人がいても、それがおかしいとは思わない。そして、これが比嘉氏のコメントで無いという事が、EM研究機構のサイトに掲載されている(2012年7月27日参照)。

この度の2度にわたる朝日新聞青森県版のEM関連記事に対し、事実関係を確認するため、7月19日に青森総局に訪問いたしました。記事を書かれた記者に直接話を伺ったところ、7月3日付、7月11日付の記事の中に開発者である比嘉照夫教授のコメントがあるにもかかわらず、ご本人への取材は一切行われていないことがわかりました。
朝日新聞記事に対する見解|EM研究機構|EM Research Organization

このようである。私自身は要約と読んだ訳だが、これが比嘉氏の直接のコメントと取られかねない事については、記事でもう少し配慮されてもよかったのではないかと思う。つまり、批判的に見られても仕方が無い、と考えている。菊池氏・長島氏や、岡山県職員、学校の教員、等は取材に答えた内容であるが、比嘉氏の部分は主張の要約であった、と読むよりむしろ、全部(EM関連組織も含め)取材に答えた内容なのだ、と読む方が自然と言うか当然の読み方、とも言えるからだ。
従って、出口氏の指摘の内、比嘉氏の談話のように見せかけた、という部分には、一部頷けるのである。ここで「一部」と書いたのは、「見せかける」という表現には意図が含まれるからである(意図は表面からは解らない)。

■「重力波

前の節では、確かに記事の書き方も、読者を混乱させる可能性があるのではないか、という事を示した。しかしこの事からすぐに、もし仮に当該の文章が、比嘉氏のコメントでは無く「主張の要約」だったとしても、その要約の仕方(開発者の比嘉照夫・琉球大名誉教授は「重力波と想定される波動によるもの」と主張する。)が不適切であった、と結論したり、そもそも比嘉氏自身はEMに絡めて「重力波」に言及していない、と評価する事には繋がらない。比嘉氏がどのように「重力波」に言及しているか、以下を見て頂ければ明らかだろう(※時系列順では無い。丸囲み数字はそのまま引用する)。

EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる ⑤ 比嘉照夫 名桜大学教授
私はEMの本質的な効果は、関英雄先生が確認した重力波と想定される縦波の波動によるものと考えています。
EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる ⑬ 比嘉照夫 名桜大学教授
私はEMが発する「波動」は蘇生的な性質があるため、縦波(エキスパンダーを垂直にした形)の超々高周波の超々低エネルギーの「重力波」ではないかと考えています。
//www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru26.html">EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [26] 比嘉照夫 名桜大学教授:まだ仮説のレベルですが、EM特有の3Dヘリカル構造(ラセン)から発生する立体波(重力波)が機能し、細胞や組織に励起的なエネルギーを与えていると思われる現象が種々確認されています。
//www.ecopure.info/topics/topics_001.html">EM情報室 WEBエコ・ピュア 「EM特別講演会」2006相模原大会開催:最後に登壇した比嘉教授は、白版を使ってEMについて詳しく説明。抗酸化力、非イオン化、重力波を総称してシントロピー現象であるなどと解説した。
EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる ⑥ 比嘉照夫 名桜大学教授
この作用はEMの持つ抗酸化作用、非イオン作用、重力波と想定される超々高周波で超々低エネルギーの微弱な波動によって引き起こされるものであり、エントロピーの法則とは逆の関係になっています。
EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる ⑮ 比嘉照夫 名桜大学教授
EM蘇生海塩は、EMスーパーセラミックスで高波動化した炉を使用して、短時間で塩の有害物を除去し、意識的にミネラルの量が多くなるように添加し、抗酸化力と還元力を強化して、磁気共鳴波動(重力波)を持つ、高機能生塩としたものです。
EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる ⑦ 比嘉照夫 名桜大学教授
このようなEMの持つ万能性は、これまでくり返しお話ししたように、EMの持つ蘇生の力、すなわちシントロピー現象によるものです。この件についての科学的な論議はこれからですが、私は重力波の存在を主張しています。
EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる ⑧ 比嘉照夫 名桜大学教授
EMの効果は改めて述べるまでもなく、抗酸化作用と非イオン化作用と重力波と想定される波動の相乗効果によるもので、極めて強い蘇生誘導効果があります。
//www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru25.html">EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [25] 比嘉照夫 名桜大学教授:EMの本質的な効果は、EMの酵素が作用して現れる抗酸化作用と非イオン作用と重力波と想定される三次元(3Dヘリカル)の縦波波動の複合的な機能による蘇生現象(シントロピー)によるものです。
//www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru21.html">EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [21] 比嘉照夫 名桜大学教授:EMの本質的な効果は改めて述べるまでもなく蘇生の法則、すなわちシントロピーを支える抗酸化作用と非イオン作用と重力波と想定される三次元の波動作用によるものです。
//www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru27.html">EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる [27] 比嘉照夫 名桜大学教授:EMの持つ抗酸化作用と非イオン作用や重力波と想定される、三次元構造から発生する触媒的なエネルギーによって代謝が正常化したものとして理解されます。
EM情報室 WEBエコ・ピュア トピックス ボランティアの力で幸福度の高い社会を 「花のまちづくり」と「善循環の輪」セミナーが大阪・枚方市で開催
EMの本質は、①抗酸化(酸化をくい止める働き)、②非イオン化(電気を帯びさせない働き)、③重力波(有害波動を消す働き)。

朝日新聞の記事の書き方に問題があると考えるにしても、そして比嘉氏の主張の部分が比嘉氏のコメント自体で無いとしても、比嘉氏がEMと重力波を絡めて論じている事は覆りはしない。

■再び「万能性」

このようなEMの持つ万能性は、これまでくり返しお話ししたように、EMの持つ蘇生の力、すなわちシントロピー現象によるものです。この件についての科学的な論議はこれからですが、私は重力波の存在を主張しています。
EM情報室 WEBマガジン エコ・ピュア 連載 新・夢に生きる ⑦ 比嘉照夫 名桜大学教授

これではっきりした。EMの「万能性」を誰が謳っているかが。果たして出口氏は、これをどう受け止めるだろうか。

*1:たとえばこの鉤括弧は引用では無い