umami

アリストテレス(384〜322B.C.)以来,基本的な味として挙げられたものには,甘味,苦味,酸味,塩から味,収斂味,刺激味,辛味,無味(insipid),脂味,アルカリ味,金属味などがあるが,19世紀初めまでには,甘味,苦味,酸味,塩から味が,いわゆる基本味と考えられるようになった。1916年,ドイツの心理学者ヘニングは,甘味,苦味,酸味,塩から味の4味およびそれらの2味,3味からなる混合味を,4面体の表面上に連続的に表わした。その後,この味の4面体は甘味,苦味,酸味,塩から味からなる4基本味説を説明するのによく引用され,心理実験だけでなく,動物を用いた電気生理学的実験においても,この4味を代表する味物質がよく用いられた。それは,甘味では蔗糖,苦味では硫酸キニーネ,酸味では酒石酸,塩から味では食塩などである。しかし,1980年前後からこの4基本味だけでは説明できない味があることが,心理学的、行動学的,電気生理学的側面から議論されるようになり,現在にいたっている。とくに日本では,昆布や鰹節の味は4基本説では説明できない味であるといわれ,20世紀初めにグルタミン酸ナトリウムイノシン酸ナトリウムに代表されるうま味が基本味の1つとして提唱された。
しかし,西欧での理解は今ひとつであったが,2000年に米国でうま味の受容体が同定されたことから,うま味(英語でもumami)は第5の基本味として世界に受け入れられつつある。うま味は多くの蛋白質を含む食品に含まれているので,西欧人も摂取しているが,西欧人が日本人と同様にうま味を知覚できるかは議論がある。なぜなら,基本味という概念が,味物質に対する主観的体験に基づくと考えると,そこには,記述言語を含む食文化の違いが関与してくるからである。
相場・鳥居[編著]『知覚心理学('01)』P176-177(引用部は斉藤幸子による)

コーヒーの旨味とは? - Togetterを読んで。
ちょっと古い本からの引用ですが、2000年から間もない頃の記述として参考になると思ったので引用しました。
コーヒーの話は疎いので、togetterの内容については何とも言えませんが、一般論としては、日常的に使う言葉が術語として定義されている場合もある、というのは気をつけておきたい所ですね。統計の言葉なんかでも結構見かけるので……。
池田菊苗の名前が挙がっていたので、味の素のサイトの、うま味に関する説明のページにリンク(かなり簡潔ですが)⇒「うま味」ってなんだろう|知る・楽しむ|味の素株式会社