割り算
問題:病気の人100人、健康な人100人で有病率(割合)は50%の集団(人口)に、感度90% 得意度90% の検査をすると、陽性適中率は○○である。○○を求めよ。もし同じ集団で有病率が変わったら(例えば、病人が150人)、陽性適中率は変わるか?
http://twitter.com/kimitakatajimi/status/405160778572914688
↓
病人150 人、健康50人では、真の陽性135人、真の陰性45人、擬陽性5人、擬陰性15人で、陽性適中率= 135 /(135 + 5) = 93%
http://twitter.com/kimitakatajimi/status/405249145130082305
※全て原文ママ
陽性適中率= 135 /(135 + 5) = 93% ?
擬→偽
推敲と検算をしておかないとな、と改めて認識した次第であります。この種の話では、つい色々なものがごちゃごちゃしてミスしがちですからね。自分もよくやるので、気づいたらご指摘頂ければ(もちろん、なるだけ誤らないように注意しますが)。
もし同じ集団で有病率が変わったら(例えば、病人が150人)、陽性適中率は変わるか?
という問いについてですが、図で考えると……。
↑まずこれが、
- 感度90%
- 特異度90%
- 有病割合50%
を表した図です。
感度というのは、この図で言うと、左半分における左上の割合です。で、特異度は、右半分における右下の割合。ですから、左片方と右片方の大きさが同じで(比が1:1で)、かつ、感度と特異度が90%という事は、左上の赤と右下の青が目立ちます。
ところで、陽性的中割合(引用文では陽性反応適中率)というのは、全部の陽性の内、病気があるものの割合の事ですので(だから、的中(適中)した陽性の割合)、赤全体の内の左上の割合を指します。ぱっと見て、その割合が大きい事は判りますね。
そして、もし同じ集団で有病率が変わったら(例えば、病人が150人)、陽性適中率は変わるか?
との問いです。
文脈からして、感度と特異度が変わらないとして有病割合(全体の内の有病者の割合)が変化した場合、の事を言っていると読めますので、それを考えていくと……。
感度と特異度が同じなので、
- 左上と左下の高さの関係
- 右上と右下の高さの関係
が変わらない、というのが解ります。縦線で非有病者と有病者を真っ直ぐ分割しているからですね。そして、有病割合が変化するという事は、その分割線がスライドしていく、のをこの図では意味します。今の問題だと、病人が増える、つまり、有病者が増える:有病割合が大きくなる、という設定ですから、その分割線が右側にスライドする事になります。
そうすると、全体の人数は変わらないまま(一番大きな四角形の形が同じ)、右片方が左片方に押し潰されるようになっていき、結果、
- 左上が増え
- 右上が減る
変化が生じます。そうすると、赤全体における左上の割合は当然、大きくなります。それを示したのが次の図です。
余談:感度特異度診断シミュレータの味噌は、有病者と非有病者の比を、テキストの色の濃さでも表現している所だったりします(その場凌ぎの手であったという説も)。
この図と先ほどの図とを見比べれば、よく解りますよね。
簡単に言うと、基準となる四角形が4つの四角形に分かれていて、一本の線分で左右に2個ずつ分割している時に、全体の四角形の大きさと形を変えず、それぞれの四角形の縦の長さの比を一定にしたままその分割線をスライドさせれば各四角形の関係はどうなるか、という話です。……あまり簡単では無いですね。