菊池誠氏の主張 “甲状腺検査で見つかった癌は殆どが無症状の微小癌」” は誤っている

菊池さんが、次のような発言をなさっていました。

甲状腺検査で見つかった癌は殆どが無症状の微小癌ですから、

端的に言って、これは誤っています。論証は簡単です。

www.jstage.jst.go.jp

↑これは、鈴木眞一氏による、福島県における検診発見の甲状腺がんの取り扱いについてのまとめです。

ここに、次のような文があります。

術後のTNMでは T1 59.2%(T1a 34.4%,T1b 24.8%),T2 1.6%,T3(EX1)39.2%,T4 0%,N0 22.4%,N1 77.6%(N1a 60.8%,N1b 15.8%)であった。

T1a 34.4%←ここに着目してください。
このT1aTというのは、がんの病期を分類する指標(TNM)の一つであり、その内のT1aは、

甲状腺に限局し最大径が 1cm 以下の腫瘍を示します。

※上の文は、甲状腺癌取扱い規約7版からですが、リンクが張りにくいので、適当に検索してPDFを見るか、下リンクなどを参照ください(下記ガイドラインの記述は6版による)

がん診療ガイドライン│頭頸部がん│診療ガイドライン

次に、以下をご覧ください。

甲状腺がん 治療:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

ここに、腫瘍の大きさが1cm以下(微小乳頭がん)とあります。つまり、甲状腺乳頭がんにおける微小がんとは、腫瘍の大きさが1cm以下のものである、という事で、TNM分類でT1aを示します。

これらを踏まえると、鈴木氏によれば、125例が術後甲状腺癌と確定した内、微小がんは、35%程度であった、と言えます(T1a 34.4%であるから)。

従って、ここから、菊池さんの言うような、

殆どが無症状の微小癌

などという主張をおこなう事は、到底出来ません。

以上より、菊池さんの発言は誤りである、と評価出来ます。