病悩期間と病識

がん検診の議論において、便宜的に病悩期間の語を用いているけれど、その語は結構色々の意味で使われていて、他に良いのが無いかな、と思っている。

論文等を見ると、病悩期間を、主訴から手術までのあいだ、のように定義したりしている。それだと、がん検診で問題になる、自分が疾病を有していると認識する期間という意味合いと変わってくる。がんのように、通常治るという事が心理的にも社会的にも認識されにくい疾病の場合は、その期間は診断されてから何らかの原因で死ぬまで続く可能性があるので、そこを表現する用語の設定が重要。糖尿病のような慢性疾患でもそう。

もちろん、その疾病であると知らなくても、症状が発現していて何らかの病気かもと思い悩む期間も病悩期間に入るだろうけれど、いまは検診の話なので、それは措く。また、検診では症状が無いのに病気を自覚する事が心理的社会的に重要であるのを把握する。

前に考えたのは、病識期間。病悩のは字のごとく、悩むというネガティブな意味だから、ほんとうは、ニュートラルな表現にしたい用語には入れないほうが良い。論理的には、病気が判っても悩まない人も成立し得るから。害を及ぼしにくい事が知られている良性疾患や、人によっては高血圧症なんかは、そうなりやすいのかも知れない。血圧なんて多少高いほうが良い、みたいな認識を持つ人も、未だにいるだろうから。

いっぽう識る事を指すから、その部分については最適と言える。ただ、これが病識となると、既に日常的にも使われていて、限定的な意味に取られる可能性もある。よくあるのは、精神医学方面で使う事。

とは言え、語の構成としては、やはりかなり適切だと思うので、その内に病悩期間から変更するかも知れない。

他にそれっぽいのは……

  • 病認期間
  • 病悟期間
  • 病想期間

うーん、病識がよく出来ているのが解る。

ちなみに、病識期間で検索しても、さすがにヒットしない。

参考文献:

bsd.neuroinf.jp

webview.isho.jp

urawasanatorium.com

www.jstage.jst.go.jp