プラセボより大きな効果はない

ホメオパシー議論などでよく見られる言い回し。

ツイターでも書いたけれども、この言い回しについては、少し注意しておく必要がある。

と言うのも、その表現の解釈は、「プラセボ(偽薬)」に関する知識量に左右されるから。ツイターで書いたのはこれ

プラセボ(偽薬)より大きな効果はない」という言い回しは、プラセボについての知識によって受け取られ方が変わるので、「効かない」と言った方がいい場合もある、と私は思う。なので、私は多くの場合、単に「効かない」と言う。文脈次第ではある。

http://twitter.com/ublftbo/status/21197736347

プラセボあるいはプラセボ効果の概念は、そう簡単なものではなく、学術的にも色々な議論が行われているのは、Mochimasaさんのエントリーを見れば理解出来る( http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100327/1269686848 )と思う。そういう概念であるから、専門の知識に疎い人に説明するという文脈で考えた場合に、「プラセボより〜」と説明するのは、「プラセボ(偽薬)ってなんだろ?」と認識させてしまうのを考えれば、必ずしも上手くはないと考える。

臨床研究においてプラセボより大きな効果がないと判明したということは、すなわち実質的に「そのものに効果はない」のを意味する。ちょっとそれっぽく言うと、「○○(←任意の検証対象)に特異的な効果はない」。だから、「効果はない」あるいは「効かない」と言えば、説明として妥当。少なくとも不適当な言い方ではない。

尤も、プラセボの概念の説明を同時に丁寧に行う、といったやり方であれば、科学的な知識の普及説明の意義もあるから、それはそれで大事だけれども、その場合には、「でもプラセボ効果で効くんでしょ?」のような反応も見越して、きちんとフォローするのを心がけるべきだろう。