感度特異度の把握のしかた
これら指標の説明を、数学(確率分野)におけるベイズの定理を紹介しつつおこなうものがあります。また、敢えてそれを説明する事で却って解りにくくなる、と言う論者もいるようです(twitterで、感度や特異度と、ベイズあたりを組み合わせて検索すると、色んな意見が見られます)。
どちらも理解を助けるためのアプローチで、いっぽうの考えからもう一方を批難する必要はどこにも無いと思います。確かに、ベイズの定理は数式がごちゃごちゃしていてややこしい、と指摘する気持ち自体は解りますが、人それぞれで、背景の知識は異なるので、どのような説明がピンとくるかも違ってくるでしょう。
それはともかくとして。
感度や特異度などの指標を理解するコツです。
まず、
感度・特異度・適中度は割合である
のを押さえます。で、割合は、
分子が分母に含まれる(分子は分母の一部)
指標であるのを把握しましょう。だからたとえば、非保有者に占める保有者という割合は成立しません。非保有者と保有者は全く重ならないので、割合になりようが無いからです。他の例を出すと、動物園にサルとトラがいたとして、サルに占めるトラの割合は成り立ちません。
もちろん、分子と分母が一致しても構いません。そうすると、割合は1です。
感度・特異度・適中度は割合なので、
何の何に対する割合か
を意識しましょう。すなわち、
このようです。重要なのは、
指標によって、着目する分母と分子が変わる
事です。
↑私が作成したこのページで、右上表の各指標をクリックすると、ハイライトされます(指標に関係する以外の部分がグレーアウト)。ここでハイライトされるのが分母で、点滅する所が分子です。※○○数とあるのはただの数
そこを注意しながら、スライダーを動かしてください。そうすると、
ある割合が、他の割合に影響する
のが解るでしょう。ひとまずは、ここまでを理解するのが肝腎。
で、これらを実際に計算しようとすると、ちょっと複雑になってきます。何故なら、分子と分母を出すのに、
割合同士の計算
が入ってくるからです。そこに、条件付き確率やベイズの定理が関わってきます。でも、それらの用語を使わずとも、説明・理解は出来ます。ポイントは、
全体(人口)を基準として、分母と分子を計算する
所。これを理解するために、最初に説明した事(指標は割合である)を把握しておきましょう。
たとえば、
こういった場面があるとします。で、誰かがガチャを引いて、
帽子をかぶっていた
との情報を得たとしましょう。その場合、
ガチャで引いたのがコリラックマである割合
計算してみてください。いわばこれは、帽子コリラックマ度を計算する問題。帽子をかぶっていたとの情報を得た時点で、着目する割合の分母と分子が変わる訳です。感度特異度と適中度も、同じように考えます。