【メモ】HPVワクチンと子宮頸がん罹患との関連を示した論文について

HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer

メモです。解釈違いや補足があれば、ご教示頂ければ。

  • 2006年-2017年にスウェーデンに居住
  • 10歳-30歳の女性
  • 調査人口→1,672,983人
  • HPVワクチンを1回以上接種→527,871人
  • 17歳以前に接種→438,939人(83.2%)
  • 31歳の誕生日までフォローアップ
  • エンドポイント→浸潤子宮頸がん発見(以後、これを罹患と称する)
  • ワクチン接種群の累積罹患数→19人。10万人年あたりの粗発生率→0.73(95%信頼区間→0.47から1.14)。30歳までの累積発生割合→47/10万[人]
  • ワクチン非接種群の累積罹患数→538人。10万人年あたりの粗発生率→5.27(95%信頼区間→4.84から5.73)。30歳までの累積発生割合→94/10万[人]
  • 信頼区間はパーセンタイル・ブートストラップ信頼区間
  • 両群とも、23歳で罹患率が増→スウェーデンでは、23歳から子宮頸がん検診の案内
  • 17歳前に接種開始した場合、28歳までの累積発生割合→4/10万[人]
  • 年齢調整発生率比→0.51(95%信頼区間→0.32から0.82)
  • 暦年・居住国・母親の出生国・親の教育レベル・世帯年収等で調整した発生率比→0.37(95%信頼区間→0.21から0.57)
  • 17歳前に接種した群で、すべての共変量を調整した後の発生率比→0.12(95%信頼区間→0.00から0.34)※その他はTable2を参照
  • 感度分析をおこなっても、ワクチン接種群の子宮頸がん罹患リスクは低いままだった
  • 年齢で層別すると、若い時に接種しているほうが、リスクの低い事が顕著だった
  • 他の生態学的研究、フィンランドや米国の研究の結果とも整合している
  • 以下、limitations(Discussion部より)
  • 一部、ワクチン接種した人が接種されていないと誤分類された。ただしそれは、リスクの違いを小さくする(要するに、効果があるとしたらそれを小さくする)ほうのバイアス(However, such misclassification would be expected to produce a bias toward the null.
  • 交絡の可能性あり
  • 健康者バイアス・志願者バイアス。それらに関連しそうな、親に関する要因は調整
  • 喫煙・性行動・ピル・肥満 等の交絡要因は調整出来なかった。ただし、親の教育水準や世帯年収等の要因(の調整)が、代用に出来る可能性がある
  • 健康者バイアス・志願者バイアスは、17歳以降で顕著に発生すると考えられるが(希望して有料で受けるため)、17歳前での接種者において、よりリスクが低かった
  • ワクチン接種者は、子宮頸がん検診を受ける割合が高い。これは無症候性のがんを発見する可能性を高めるので、リスク低減の過小評価になる可能性がある(つまり、効果を低く見積もる可能性)
  • ワクチン接種者での症例数が少ないので、ワクチンの回数と罹患リスクとの関連を、精度よく(信頼性高く)推定する事は出来なかった