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誤診と経験とシステムと

私は、誤診された事があります。

身体に症状が出て、最初、開業医を受診したのですね。それで、これこれこういう病気だから、この薬を処方します、と診察されて、家に帰りました。
それで、数日かけて、症状はどんどん悪化し、これはいかんと思って、単科の病院を改めて受診した所、即入院決定、という訳です。

実は、最初のクリニックを受診する時に、自分はこういう病気なんじゃないかな、と自己診断をあらかじめしていたのです。今時は、WEB上の情報は膨大ですからね。私は事前に調査する方だから、色々調べて、ああ、自分はこの病気の典型的な症状みたいだな、と認識しながら受診した。でも診察の結果は、別の(自己診断したものより軽度とされる)ものでした。それで、専門家の見立てですから、私は、安心したのです。ああ、この病気だと思っていたのだけれど、そうでは無いのか。良かったな、と。私はこういう場合、プロフェッショナルの見方のほうが、当然蓋然性が高い、というように考えますので(所詮、自己診断など素人の付け焼き刃なのですから)、それが思ったより軽いものだったから、安堵しました。

しかし結果的には、最初の開業医の診察は誤っていました。自己診断の方が正しかったのです(まさにその典型的症状だった)。クリニックで処方された薬は、当然無駄になります(同じ薬が使えるにしても、処置をおこなった後で無いと逆効果になるような情況でした)。数千円飛びましたし、痛い思いもしました(一睡も出来ないくらいに)。

こういう時の経験というのは、やはりインパクトが強いものです。ここから私は、

開業医のクリニックなど最初に受診するものでは無かった。単科の病院か総合病院に初めから行くべきだったのだ。

というような認識を持ったのです。でも実際には、たまたま未熟な開業医に当たったのかも知れないのですよね。だけれど、時間と金を無駄にした、痛い思いをした、というのは大きい。クリニックには設備が不足している(実際、自分の病気の診断にはそんなに高級な機器は要らなかった)、単科の病院の専門医の方が知識も豊富で誤診はしなかったであろう(自分の病気は、それほど稀で世間的に聞く事が無いようなものでは無い)、と尤もらしい理屈をつけつつ、次からはまず大きな病院を受診しようと考えるに至りました。

そういう経験がありますので、今話題となっている、救急以外で500床以上の大病院を紹介状無しに受診すると診療費が大きく上がる、というような事について、違和感を覚える、という意見にも理解出来る所があるのです。やっぱり直感的に、大病院の方が、専門医が沢山いて、設備も充実しており、より良い診察と治療が受けられるのではないか、と思うものです。

けれど、誰もが最初に大きな病院に行こうとしてしまうと、システム的にどうしようも無い。これはもう、制度の問題でありリソースの問題であり理屈の問題でもあります。保険医療制度を維持し、それによる恩恵を享受する一員として、多少なりともそのシステムを知っておき、より良い運用が出来るよう協力する、というのも、非医療者は心得るべきだし心がけたい。

医師からは、はじめ開業医を受診し情況によって紹介状を書いてもらい総合病院などに行ってもらうシステムの方がむしろ合理的な面がある、という意見も出されており、それなどを参照すると、なるほど尤もな所があるな、と感じます。

anond.hatelabo.jp

こういう問題は、非専門家は、なるべく感情的な部分や、経験からの過度の一般化を抑えて(排する必要は無い、と思う)冷静に事を見つめ、専門家(ここでは医療者)は丁寧に説明していく、というように歩み寄って、相互理解を目指すべきなのだと思います。どちらが、というのでは無く、どちらも。地道だけれど、地道にやっていくしか無いのだろうな、と。