メモ:鈴木眞一の見解について
簡単に。これまでの鈴木氏の意見から、このように認識しているであろう、という推察。
- 鈴木氏は、ウェルチらの言う所の過剰診断の割合は小さいであろうと認識していると思われる
- それは、過剰診断が無いという事を意味しない
- 鈴木氏が言っているのは、症状が発現するものを先取りして発見している割合が大きい、という事だと思われる
- 鈴木氏は、overdiagnosis と overtreatment を混同している可能性がある。後者ならば前者だが、逆は必ずしも真では無い。従って、手術のし過ぎでは無いと主張したい場合、過剰診断では無いと表現するのは、正確とは言えない。
- 韓国等の事例と比較しているのは、日本におけるがんの経過観察の知見を適用しているので、overtreatment が多いとは言えない、との主張であろう。
- 鈴木氏は、甲状腺がんが流行しているとは言っていない。2014年に、発見に地域差が認められない事や、ラテントがんの知見などから、当時のデータからは、放射線の影響で甲状腺がんが発生しているとは考えにくい、と述べている。参考: 福島県での甲状腺がん検査結果の現状(鈴木眞一氏)|エネ百科|きみと未来と。
併せると、鈴木氏が主張しているのは、
- 流行は起こっているとは言えない(少なくとも当時のデータからは)
- 過剰診断はそれほど多くは無い
- 先取りの割合が大きい
というものだと考えられ、これら主張は整合する。
重要な補足として挙げておく。
過剰診断が少ない事は、検診が有効である事を意味しない
検診が有効であるというのは、検診に延命効果がある事が前提であり、過剰診断が少ない事は十分条件では無い。従って、過剰診断が少ないと主張する専門家があり、また、その主張が妥当であると想定しても、そこから、検診に効果があるという結論は導けない。