15年目? 非専門家としてブログを書く動機づけ

dlit.hatenadiary.com

dlitさんの記事を読んで、そういえば、自分もブログを始めて15年目(に入る?)くらいだな、と気づきました(前のブログからの通算。dlitさんと同時期に始めたのです)。15年て、そこそこ長いですね。

始めた頃からすると、最近の内容は、だいぶ限定的な話題になっていますね。今は、(特に検診に関する)疫学や、統計のものが中心でしょうか。まあ、コツコツやっているほうだとは思います。最近は、twitter等のショートなSNSが中心でしょうし(noteなんかもあるけれど)。

自分には、いわゆる学術的な専攻の意味での専門分野というのは無いし、仕事とは全然関係の無いものしか書かないので、dlitさんのような研究者による発信は、とても参考になるし、貴重なものだと思います。専門分野の普及や宣伝が目的だとしても、リソースを割いて、分野の知識を無償で紹介するのは、やっぱりすごい事です。

私がブログを始めたのは、ニセ科学(特にゲーム脳)や身体運動、ゲーム等について書こうと思ったのがきっかけでしたが、今は、上でも言ったように、主に検診の話を書いています。ニセ科学や、科学一般のトピックは、相対的に書く機会は減っていますね。

とは言っても、検診について語るには疫学の知識が必須ですし、疫学の勉強は、一般的な科学の考えや科学哲学、因果推論にも関わってきます。もちろん、現代実証科学の基礎にあたる統計学もそうです。それらを考える事は結局、前から採り上げてきたニセ科学などとも関連してくるものですから、繋がってはいる訳ですね。

ブログを続けるモチベーションとしては、世間でそれほど採り上げられていない事にフォーカスするとか、話題になっているが深く突き詰められていないように感ぜられるものについて検討していく、といった感じでしょうか。また、正直に言うと、非専門家が専門的知見にどれくらい接近出来るかというチャレンジの側面もあります。そして、それが出来れば、専門的な知識に明るく無い人への橋渡しをしたい、とも思っています。

自分で言うのも何ですが、ニセ科学や検診の話に関しては、多少は出来ているのではないかな、と評価をしています。統計の用語なんかもそうかな。このブログを読んで、内容に対し、そうだったのか、と思われたとすれば、書いた成果がいくらかあったのでしょう。

心がけているのは、

  • 対象の分野の教科書を必ず複数参照する
  • 術語の定義をきちんと捉える
  • 専門概念同士の関係や整合性に気をつけ、体系の論理構造を精密に把握する事に努める
  • 解らない部分は解らないと書く事を含め、曖昧さを少なくする
  • 主張する人の人格等にはなるべく踏み込まない(主張の構造そのものを検討・評価する)
  • 自分の主張に対する最強の批判者として、自分自身を位置づける(だから、自分の文を何度も何度も読む)

といった所です。結果、読んだ人は、

  • 冗長
  • 冷たい
  • 無駄に細かい
  • しつこい、くどい
  • 言葉に厳密過ぎる

などの印象を受けるでしょうが、それは、正確さや丁寧さを求めようとすると生ずるデメリットで(人によっては、です。私はそういう文を好みます)、ある種のトレード・オフのものなのかな、と考えています(既にくどいでしょう?)。出来るだけ感情を削って(全然出来ていないだろう、と思いますか?)、人格とは離れた所の調和の取れたもの(私はそれを、綺麗と表現します)を求める、といった性向なのかも知れません。

ともかく、自分の方向としてはこのままで、細々とやって行こうと思っています。