【メモ】検査議論
↑ここで書いた事から、あまり進んでいないですね。
今日は厚労省が、ドライブスルー方式の検査に関する見解を発信しました↓
【#新型コロナウイルス「ドライブスルー方式」のPCR検査を実施しない理由について】「ドライブスルー方式」のPCR検査が、いくつかの報道で紹介されています。(1/5)
— 厚生労働省 (@MHLWitter) 2020年3月15日
私は、こういう発信はどんどんすべきと思います。表に出てこないよりは、どういった見解でもって意思決定をおこなっているか、が解るほうが良いでしょう。肯定的に評価出来る所があればそうすれば良いし、批判的に検討して、改善すべき箇所を見出すのも良い。
案の定、この発信は議論になっていますね。医師の診断が無いからやらないと言うのなら、診察してから、あるいはしながらおこなえば良いだろう、という反論もあります。そりゃそうですよね。厚労省の中の人(たち)が、リソース的な問題(資源があるならやる)か方法的問題(法的なり構造的なり)か、それとも検査の必要性自体の問題(そもそも軽症者にしなくて良い)か、それを切り分けて検討した上で発信していない事が、推察出来ます。
ほんとうは、発信内容を内部で提示し、想定問答を徹底的におこなうべきなのです。でも、それはなされていないのでしょう。その事自体が、当該組織に関する情報を与えてくれる(ネガティブな)。 やるなら、検査の問題に関し、
- リソース
- 対象範囲
- 検査法(RT-PCRか迅速診断キットか)
- 検査環境(クリニックか専用の建築物か。あるいはドライブスルーか)
- 検査そのものの意義
これらの観点に分けたFAQを用意し、さらにそこから派生する想定問題にも回答を用意する、といった事も出来るはずです。
検査の是非は、色々な観点が絡んでいて、トータルな評価が極めて難しいですね。
問題の観点をきっちり切り分けて、それぞれについて(それぞれの関連をも検討しつつ)考えるべきなのですけどね。それをやらないと、まともな議論にはなりません。いまは切羽詰まった情況だから、細かい所を詰めている場合では無い、的な考えが(直観的にしろそうで無いにしろ)あるのかも知れませんが。
RT-PCRの話。
特異度を90%とかに設定して想定をおこなっているものがありますが、なぜ90%か、の根拠が曖昧。RT-PCRは、現状は、他の検査の参照基準となっているものですからね。それの特異度は、定義上は1です。
もちろん、真の特異度は1にはならないでしょう(感度を確保する以上は)。けれど、その値を知る事は不可能です。だから、基準の基準はどう考えるか、みたいな循環的な話になる(ロスマンにも書いてあります)。そういう所を考慮すれば、特異度を90%にしておく、のはすごく大胆なやりかたです。特異度90%と99.9%って、全く性能が違いますからね。
おそらく、感度や特異度なる用語を最近知った、という人が、その用語を使って何か言う、あるいは言いたくなる、のがあるのでしょう。けれども、それらの用語を把握するのは出発点であって、そこを含めた総合的性能評価、および、検査をいかに運用するか、は極めて難しい問題です。
たとえば、超高性能な検査が開発されたら、と仮定して、それを用いて検査範囲を拡大すべきですか? それとも、検査性能が高いからといって、無闇に広げてはなりませんか?
偽陰性や偽陽性の所ばかりにクローズアップして、検査の性能が低いから……と評価する事自体は構いませんが、じゃあ良い性能の検査が開発されたらどうする、といった所まで視座を広げて議論すべきでしょう。