「科学的」に考えるために
「科学的」に考えるために - TAKESAN | ブクログのパブー
昨年の8月に作った電子書籍ですので、作ってから1年以上経ちました。無料公開してからは半年程度ですか。
あの地震が起きた事によって、「科学」がより強く意識されたように思います。地震や津波を予測する事、被害を押さえる事、原子力発電所のあり方(運用の仕方や安全の確保の仕方)、放射性物質の性質や、人間の身体に与える影響、等々について、科学及び、それに基づいた技術が大きく関わっているから、意識せざるを得ない情況になった、という事なのでしょうか。
もちろん、「意識」するといっても、人によって様々、とても幅広いものだと思います。原発事故が起きるなんて「科学」は信用ならんな、のような感想を持つといった漠然としたものから、より積極的に専門的な勉強をする、という場合もあるでしょう。
私自身は、高校を卒業するまで、科学というものについて強く関心を持つ事はありませんでした。星が好きだから天文学者になりたいな、といった考えはありましたが、「科学」がどういう体系か、とか、そういう方面には全然目を向けてこなかった。けれど、それから大分時間が経って、ふとしたきっかけで、科学を強く意識せざるを得ないようになって、進んで勉強するようになりました。ですから、自分が科学というものを志向するのは結構遅めだったし、ほぼ*1独学です。
そういう事情ですから私は、「科学を知らないけど科学に関心を向け始めた」という所にいる人の事をいつも考えています。自分自身が科学を誤解していたし、ある程度理解するまでにすごく遠回りをしました。ですので、もし、科学に関心を持ち始めた人に多少でも助けになる事が出来たらな、と考えて、電子書籍を作りました。
そのように、読んで欲しい対象としては、科学の事をそんなに知らないけど何となく興味を持った、という人を想定しています。だから内容は高度では無くて、基本的な所をなるだけ噛み砕いた表現で書こうと心がけました。そもそも私は専門家では無いので高度な内容は書きようがありませんし、それこそ高度な所は専門家の方にお任せするべきだと思います。私がやりたかったのは、橋渡しのような事です。
私が科学を勉強するにあたって大きな影響を受けた人が三人います。大村平さん、森博嗣さん、中谷宇吉郎博士、です*2。本を作る時には、この御三方の書籍等を強く意識しました。レベルとしてはそれらの方々の文章の足元にも及びませんが、多少は読める物に仕上がっているのではないかと思います。
内容としてこれは入れておかねば、というので、科学は制度的な部分が重要であるという所を入れました。社会的な要素があるという事ですね。査読制度だったり、大切なのは「証拠」を提示する所であったり。それは、科学というものは、そもそも科学自体の知識を絶対的なものとは見ないように仕組まれている、というのを強調したかったのでもあります。ここは誤解をしばしば見かける所ですので。
他にも、数量化の事とか、定性的/定量的 な見方の事、等も入れてあります。科学は「はかる」事が重要ですから、尺度の事も強調しました。
また、自分の経験談も結構入れていて、これは、読者に「あるある」と感じてもらいたかったからでもあります。確かにそういう事はあるな、と思わせるのは結構重要だと思うので。たとえば、「数値化への違和感」なんかがそうですね。数値化って何か嫌だよね、でも科学ではそれが重要だよ、という風な流れです。
といったように、この本では、色々な観点を意識して、なるだけ幅広い話題を扱ったつもりです。そこそこの範囲はカバー出来ているかな、と考えていますし、書き方としては、「中学生くらいが頑張れば読める」くらいで設定したので、広い年齢層に読まれればな、と思います。
よろしければ、読んでやって下さい。また、周りに、科学ってどんなものだろう、という疑問を持っているような人がいたら、こんな文があるよ、と言ってもらえればありがたいです。