福島における甲状腺がん検診(効果の評価や実施の是非)および、「過剰診断」問題について
あらまし
先日に立憲民主党が、漫才師のおしどりマコ氏を、参院選の公認候補として擁立しました。
その流れで、(おしどりマコ氏が言及していた事から)福島県でおこなわれている甲状腺がん検診に関する議論が、twitter上で起こったようです。そこでは、次のような意見が見られました。
- おしどりマコ氏はデマを流している
- そのデマは、福島で甲状腺がんが、被ばくによって沢山発生している、というものだ
- 甲状腺がんが沢山見つかっているのは、過剰診断によるものである
- 過剰診断論には根拠が無い
- おしどりマコ氏がデマを流しているというほうが誤った主張である
- 福島において甲状腺がんが沢山発生しているのは明白
これらの意見が投げかけられ、時には直接やり取りをしています。しかし、私が見る所、まともな議論となっているものは、ほぼありませんでした。
この問題は、まず検診とはどういうものか、沢山発生するとはどういう事か、それを確かめるにはどうすれば良いか、過剰診断とは何か、検診はおこなって良いのか、など、色々な論点が絡み合った事柄です。そして、それらをきちんと検討・評価するには、疫学という専門分野の知見が必要となります。そこで定義されている用語・概念をしっかりと押さえ、その意味合いや構造を共有して初めて、建設的な議論が成り立ちます。
この事を前提とした上で、各論点を切り分けて議論しないと、収拾がつかなくなります。と言うか、既にそうなっています。
そこで、今まで私が書いた、検診や過剰診断についての記事を、論点ごとに分けて、まとめてみます。たとえば、検診とは何か、とか、検診の効果をどう測るか、あるいは、過剰診断とはどういう概念か、そもそも大規模な検診を実施して良いのか、悪いとすれば何故か、などといった種々の観点からの記事群です。
そこでは、疫学の文献を参照していますので、興味のある所があれば、そこから辿って、より専門的な知見に当たる事も出来るでしょう。
これまでに書いた記事をシンプルに分類し便宜的にまとめてみたものですので、段階的に学習出来る内容になっているとか、論点が明確に分けられている、という事はありません。ですので、読みやすさや解りやすさも保証出来ません。あくまで、参考資料として、どのような論点があり、どういう専門用語を使って知見が組み立てられているか、という所を眺めるもの、くらいに捉えておいてください。